届かなかった愛は、時を越えて蘇る

その結婚は、冷たい関係の始まりだった。
夫・カーセルは、婚礼の夜に「愛することはない」と言い捨て、彼女を拒絶し続けた。

触れることも、言葉を交わすこともないまま、戦場に消えた彼は、死の報せと一振りの剣だけを遺して戻らなかった。

失意の中、妻・アマリアのもとに届いたのは、彼の遺言とも言える三通の手紙。
そこに綴られていたのは、想像すらしなかった、哀しく優しい真実。

冷たい夫を演じた理由。
心から愛していたがゆえの選択。
そして、本当の願い。

叫びにも似た涙を流しながら、彼女は彼との記憶を探し始める。

そして、運命はもう一度、ふたりを巡り合わせる。
ただし、すべてを忘れてしまった彼と、すべてを知ってしまった妻として。

記憶を失った男と、愛の真実に目覚めた女。
『ゼロから始まる夫婦』が紡ぎ直す、優しくも切ない愛の再生譚。

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