第2話 真面目ちゃんと友達

朝の朝礼を終えて一限目の準備をしていると前の席に座る女子に声をかけられた


「ねぇ、一限目って何だっけ?」


「数学だよ。ちゃんと授業の日程くらい覚えとこうよちーちゃん…」


私の学校での唯一の友達のちーちゃんこと一条千冬。

見た目も綺麗でかっこいい女性って感じだ


「…ちなみにちーちゃんは宿題のプリントはやってきたよね?」


「んー?…うーん、多分?」


「多分て、それ絶対やってないやつでしょ!先生に怒られても知らないよ?」


「じゃあ香のプリントうつさせてー」


「まったく…」


机の中からプリントを取り出し千冬に手渡す

だるそうにしながらも時間がないため急いでうつしはじめある程度時間が経過したあと後ろを向いてプリントを手渡してくる


「…そういえばさ、最近は特に何もされてない?」


「え?…うん、大丈夫だよ」


「そ、ならよかった」


そもそも仲良くなった理由があって、私が他の生徒に面と向かって悪口や暴言を言われていた時に助けてくれたのがちーちゃんだった。

それ以降直接悪口や暴言を言われる事は無くなった。


だから時々こうして問題が起こってないか聞いてくれるのだ


「それよりもこの学校ってなんで校則守らない人多いのかな〜」


「あーまあ確かに見た目派手な人多いよねー」


「学校って勉強とか部活とかを頑張るところでしょ?見た目も大事だとは思うけど校則を破ってまでする理由がよくわからない。」


「んー」


ちーちゃんは少し考えたあと口を開く


「カップルが多いから?」


「…そうなの?」


確かにこの学校で男女交際をしている人は多い、このクラスでもまだ数ヶ月しか立ってないのにもう何組もカップルが誕生している

男女交際は校則でも禁止されていない為学校側も未成年として問題のない付き合いならみとめている


「ほら、やっぱりカレカノに少しでも可愛く見られたいとかかっこよく思われたいとかあるじゃん?」


「でもだったらそれこそ勉強していい点取るとか部活動で活躍するとかじゃないの?」


「うーん、まあそれは好きな人ができないと分からないのかもね」


「好きな人か〜」


好きな人…今まで生きて来たなかで一度たりとも異性に恋をしたことがない。

昔から勉強や運動で結果を残すのは好きだったしクラス委員や生徒会などにも率先して参加していたからなのか他の人に対して厳しくしてしまう事があるため一定以上仲良くなる事が少ない。


(私にはきっと恋愛とかは一生わからないのかも…)


「なになに?真面目ちゃん好きな人いるの?」


好きな人や恋愛の事を考えていたら突然1人の男子生とが声をかけてくる


「…突然話に入ってこないで」


「うわ、相変わらず冷たい」


その男子は朝私の頭を撫でて来た桜井鳴だった。

人が友達と話している時に邪魔しないで欲しい


「もう授業始まるしそろそろ席につきなよ」


「はいはい、じゃあ次の授業後にまた話に来るよ〜」


全くこの男は何考えてるかよく分からない、今みたいに時間ができると話しかけてくる…


「前々から気になってたんだけどさ、なんで香は桜井の事嫌ってるの?」


「え?嫌ってはないけど…ただあーゆーチャラい感じの男子が好きじゃないだけだよ」


そう、あーゆー男子と関わると大体ろくでもないことが起こる


(中学時代だって…)


ある経験から私はすこしでもリスクを回避するために関わりを減らしたいのだが


「それに何回も拒絶してるのに平気で話しかけてくるのがなんか怖い」


「あー確かに、よくめげないよね桜井」


そんな会話をしていると先生が来て一限目の授業が始まった。

この高校の授業はなかなか難易度が高く日頃から復習や自習をしていないと置いていかれそうになる。

その後一限目が終わり休み時間になったのだが…


「んでさっきの話の続きなんだけど、好きな人いるの?」


「………」


休み時間なってすぐ私のところに桜井がくる。さっきされて返さなかった質問をまたしてきた


「なんで教えなきゃならないの?」


「一条には教えて俺にはダメって酷くね?」


「ふふん、私の方が香に信用されてる証拠だね」


「俺そんなに信用できないかな〜」


普段この2人の会話もあまり見ないがなかなか美男美女のツーショットは良いものである


「はぁ…そもそも私好きな人いないよ、いないからみんなが校則を破ってまで身だしなみをいじる理由がわからないって話してたの」


「お!教えてくれたって事は少しは信用して貰えてるってこと?」


「まあ隠しとく事でもないしね」


「てかさなんで桜井は香の好きな人が知りたかったの?」


ちーちゃんが桜井に質問を投げかける


「え、いやほら、真面目ちゃんの好きな人ってどんななのかなーってさ!」


「ただの興味本位ってこと?」


「そゆこと!」


なんだとつまらなそうにするちーちゃん、そりゃあ興味本位以外何があるといくのだろう…


「てか真面目ちゃんは中学校では好きな人とかいなかったの?」


「中学の話はしたくない」


桜井からの質問に冷たく返してしまう

さすがの桜井もいきなり冷たく返されたことによりこれ以上聞くのをやめてくれた


「あー…とりあえずそろそろ授業始まりそうだから戻るわ!」


そう言って自分の席に向かって戻っていった


もう少し優しく言えばよかったかなと多少の後悔もあったがその後の授業も無事終わり長い1日の午前中が終わった







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真面目ちゃんはまだ恋を知らない。 ニト @nitoas

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