私の異世界冒険記
緑帽タケ
1␣私が異世界で生活する羽目になる話
目覚ました時、私は暗闇にいた。薄暗い洞窟で、ひっそりと息を潜めていた。というのも私は登山途中に滑落してしまい、ここまで滑り落ちてしまっていたのだ。どこを探してもスマホも他の持ってきていたはずの荷物もなく、それどころかこの暗闇の中では私がどこにいるかも分かる事が出来ず、とうとう自分が助からないのだと悟り、私は子供の用にすすり泣いてここにはいない何者かに助けを求めた
誰がこんなところまで探しに来れるのだろうか、私は救助されるのだろうか、 私はここで死んでしまうのか?誰にも発見されずここで野垂れ死ぬのか?段々と弱っていき、ついにはこと切れるまでの間はとても辛いのだろうな……。凍えるように冷たい路地裏で野垂れ死ぬよりも哀れな死に方を私はするのだ。そう思っているうちに私の感情があふれ出て次第に歯止めが行かなくなっていった。ハッとした時にはついに今の状況によるストレスが、私の感情ダムを叩いて砕いた。
いやだ、そんなのいやだ!死にたくない死にたくない死にたくない、私が何をしたって言うんだ!何か悪い事をしたのか?どんな不幸があって私はこんな目にあっているのだろうか、どうして私なのだ!よりにもよって私がどうしてこんな目に合わなくてはいけないのだ!
この時の私に神に祈るような余裕や思考は持ち合わせてはいなかったが、神的な何かに跪いて助けを乞うていたのは確かだろう。それでもどんなに叫んでだとしても私が泣き止むまでの間にだれかが私を助けに来ることは無かった。そこには絶望を改めて知覚し、だが泣いた疲労により何も行動できず、地面に体を預けるようにうなだれている愚かで無力な私が希望に取り残されていた。
しかし跪くように祈ったからか、幸運なことに私の助けが来たのは、それからあまり時間をかけずであった。
助けを知らせたのは天井一面に張り付いていた蝙蝠であった。彼らの数匹が、洞窟を照らしながら進み続ける松明の光に驚いて飛びだって逃げたのだ。薄暗い洞窟の隅でひっそりとしゃくりをあげながら身を倒していた私は不意に顔を上げた。その時私の深い絶望は、あの松明の光のように徐々に薄れ次第に希望が広がっていった。その希望とは数人の男共を連れた、銀の胸当てを付け、赤茶色く分厚いローブを羽織った銀髪の女性であった。私は涙ぐんだ、生きているという実感がこれほどまでに感じられたことが今まで他にあっただろうか、落とされた絶望が深いだけに、今この瞬間彼女の存在が何よりも輝いて見え私を感動させたのだ。彼女は私を見つけ、彼女は迷わず私を心配して私に手を差し伸べた。私の心は今までの何よりも希望にあふれていた、私は彼女が差し伸べた手を取った。
これが私の新しい世界との、初めての出会いであった。
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