ロックに魂を賭けた男たちの〝キセキ〟
- ★★★ Excellent!!!
かつての日本を熱狂の渦に巻き込んだ伝説のロックバンド・トリケラトプス。三十年前に不詳の解散を遂げた彼らを再びライブステージに呼び戻すべく、その消息と歴史に迫る物語。
読了後の今、強烈なカタルシスと興奮の余韻が全身を冒している。
解散したメンバーの足取りが掴めず、彼らへのコンタクトに四苦八苦するテレビマンの焦燥。次第に明らかとなるバンドマンたちの非業なる過去と葛藤。どの場面も臨場感が凄まじく、何度も時間を忘れて物語の世界に入り浸ってしまう自分がいました。
本作について何より特筆すべき点は無類の読みやすさにあります。丁寧で無駄のない文章は、一読しただけでその時々の映像や情景が頭の中で克明に再生される。全くストレスなく物語を追えることにかけて商業小説と比較しても遜色なく、数多あるネット小説の中でも非常に完成度の高い作品であると太鼓判を押せます。
血肉沸き立つほどに心揺さぶられる人間ドラマを堪能したいという方に、是非ともこの物語をおすすめしたいです。