第2話:朝の列

朝の光が斜めに差し込む中、列は静かに並んでいた。

どれも整然と、まっすぐに。


さらに、どれも微動だにせず、まるで息を殺しているかのようだった。


まるでこれから始まる何かを待っているように。


風はなく、空気も張りつめている。

すべてが、前だけを見ていた。しゃんと背筋を伸ばして。


しかし、列の中のひとつが、かすかに揺れ始めた。


はじめは誰も気づかないような小さな震えだった。


ぐら、ぐら、と体を揺らし傾け、前後に動いて、よたついている。


他はなにも動かない中で、それだけが明らかにおかしかった。


やがて、ふらりと大きく揺れたかと思うと、前に傾き。


カタン。


音を立てて、前の列に倒れかかる。


「あ、やべ」


声が聞こえた。


その瞬間、連鎖は始まった。


カタン、カタン、カタン、カタン・・・


床の上に並べられたドミノたちが、速度を上げて次々と倒れていく。

さっきまで「整列」していた朝の列は、音を立てて崩れていった。

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