消えた歌、響く声

歌声を奪われ、名前を失った少女「リナ」。裏切りと誤解の中で表舞台を追われた彼女は、すべてを捨てて海辺の町へと逃れた。
しかし、祖母の言葉と一冊のフォトブックが、再び彼女の胸に「歌いたい」という想いを灯す。
半年後、「ミィコ」と名を変え、配信という新たなステージへと踏み出す──。

一方、孤独な日々を送るイラストレーター・セバスは、偶然開いた配信アプリでミィコと出会い、その歌声に心を揺さぶられる。
人を信じられなかった男と、歌を信じ続けた少女。
出会うはずのなかった二つの人生が、画面越しに交差したとき、止まっていた時間が少しずつ動き出す。