第2話 委員会といえば図書委員だよね!
担任が決まった。なんとなく面白い感じになって「どうなるかな?」みたいなわくわくを感じられると思っていたが、そんなことはなかった。実際、何事もそんなに期待していないのだからどうでもいいと思った。知らない人だ。どうやら新任で、この学校に来たばかりらしい。よくわからない先生で、周りの人もびっくりしていた。
でも璃々は違った。
「先生!好きな食べ物は?」
先生ですらかなり緊張してそうな雰囲気をぶち壊すような陽気な質問。その一言でみんなの固まっていた気持ちがほどけたようにしゃべりだした。質問に次ぐ質問攻め、先生の名前を詳しく教えてもらうような普通の自己紹介ではなかった。どうやらうちのクラスはうるさいクラスになるのかもしれないと思った。落ち着いた後、先生がようやく発言した。
「僕の名前は長家仁成って言います。今みたいな質問攻めでもいいので、みんなと仲良くしたいです。」
「じんせい先生は言いにくいからー、仁先生でいいんじゃない?」
と璃々が言い出した。この学校社会はスタートダッシュが肝心だ。自分をひけらかし、あとから好かれる者もいれば、その逆もいる。この璃々のように最初っから“THE陽キャ”みたいなキャラクターだと、今後のこのクラスでは優位な立場にいることができる。そこを知ってか知らずか、陽気な感じで先生にそう言い、それに周りも賛同し、みんなが仁先生というようになった。
うちの学校ではクラスが決まったあと、すぐに係と委員会決めを行うこととなっていた。そのことを知っていたのか、すぐに隣の席の璃々が話しかけてきた。
「委員会、係どうするー?」
そう聞かれた。自分は帰宅部なので放課後は特に用事はない。しかし帰宅部として、というか、こういう面倒なことは極力やりたくないというのが人間というものである。
「いや、どっちもしないつもりだよ」
「やるんだよ! このクラスまだ仲いい子がいないから一緒にしようよ」
女子に誘われた。自分はこれまで女子と遊ぶどころか、事務連絡等以外で誘われることがなかったので喜んだが、それでもやっぱりめんどくさいものは、めんどくさい。
でもせっかく聞いてくれたので、そのことについて深堀りすることにした。
「えー、何したいの?」
「んー、やっぱり図書委員とか? 本結構好きなんだよね」
「図書委員ならまだいいよ」
図書委員は康弘が前やっていたもので、比較的楽なものだったそうだ。ならいっか、と思いやることにした。
「え?いいの? やったぁ、よろしくね!」
気さくな笑顔だった。勘違いされてきた男子が多そうな笑顔。明らかにそう感じるような笑顔だった。この違和感は、この時そんなには気にならなかった。
そして委員会が決まり、係はしないことにした。
その後、委員会活動が明日から始まることを担任から聞いたので、明日からやることにした。
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