週間忘却

まるこりん

前編 私が忘れたもの

窓から光が差し込む。ベッドの上で横になっていた私にはそれが私の目を覚まさせた。ベッドから起き上がり背伸びをする。スマホを見ようとすると電源が入っていない。どうやら昨日充電をするのを忘れたようだ。珍しいな、と思いつつ昨日の記憶を思い出そうとする。


…思い出せない…


昨日のことだけではない。1週間前に角野琴子(すみのことこ)と買い物をしたところから記憶がないのだ。

その時も何を買っていたのか…あまり覚えていない。まあ多分あまり重要なものではなかったんだろう。

階段を降り、リビングへ行くとそこにはママがフライパンを使い卵焼きを焼いていた。

「おはよーママ!今日もいい天気だね!」

ママはこちらを振り向かず、こう答える。

「…おはよう。もうすぐご飯できるから待っててね」

ママはテンションがそんなに高くない。というかいつもこんな感じだったか。しばらく待つと私と母の2人分の朝ごはんが机の上に並ぶ。卵の甘い香りとサクサクそうなパンにいちごジャムが塗ってある。よしよし、どうやら私の大好物セットのようだ。

「やっはー!ママはやっぱ分かってますな!私の好きなものばっかりじゃん!」

「そうね…ねえあんた…」

「ママ。そういえば私って昨日何してたの?」

母親はとても驚いた表情をして

「あんた…覚えてないの?」

と聞く。昨日どころか1週間の記憶がないんだ…と私は言った。

「…そうだもんね…なら学校行く準備しなさい。もう7時半よ」

そう言われて急いで準備をする私。まずいそろそろ。

ピンポーンとチャイムが鳴る。多分琴子のやつが迎えにきた合図だ。

「ちょっと待って!すぐ行くから!」

急いで着替えて外に出る。

「ハァ…ハァ…ごめん遅れた」

「なーに寝坊してんだ小牧順子!おかげであたしも遅刻しそうじゃんか!」

休んでる暇ないよ!っと私の手をつかんでいつもの通学路を走っていく。そういえば琴子は知っているのだろうか。私の忘却された1週間のことを

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