読み終えた後、「だよねえ」としみじみ納得させられます。
「異世界」というものを嫌がり、「元の世界」に帰りたいと願う主人公。
異世界には魔法があるし、モンスターもある。その中で「冒険」をしなければならない。
西村匠と名乗る主人公の「俺」はレトミアという女性と共にダンジョンに入ることになるが……。
最終的に、「なぜそんなに異世界が嫌いなのか」という実際の理由が語られ、「たしかに!」と共感すること間違いなし。
既存の「異世界モノ」というのは、基本的に;「恵まれた状態での転生・転移」が基本となっています。つまりは「ガチャで大当たりをした状態」であり、「他者に対する不公平」が容認された状態でもあります。
自分が勝ち組になっていれば、その世界は良いものと考えていいのか。勝ち組の誰かがうまく行っているだけの世界が、果たして「元の世界」よりもいい世界だと言えるのか。
世の中に氾濫している「異世界もの」へのアンチテーゼが示され、色々と考えさせられる作品でした。