第40話 スターティング・アゲイン

――コロニー「ヒース 2nd」、東展望台


<夕日を取り込んでいたヒース 2ndの屋根が静かに閉じた。天井の照明がついて私たちを照らしている。式典の余韻だろうか、遠くから住人たちのざわめきが風のように届いてくる。ハイデは欄干に軽く肘をついたまま、首だけをこちらに向けた>


【再建計画を聞いたとき、どう感じましたか?】


 もう、ここまで進んでいるの、と驚いたよ。コロニーの型と地域の候補が絞られていた。

 再建計画のグループをのぞいたら、すごい活気があったチャットルームが静かになった。テキストも映像も全部。

 ちょうどいい、と思って、管理者をやりたい、といったら、驚きと歓迎の両極端な反応があった。

 口にしてから、自分でも少し驚いたよ。違和感や迷いがなかったことに。


【驚きと歓迎は誰からですか?】


 管理者たちと住人たちから。あの状況からやるのか、やってくれるのかって。

 反対はなかったのが意外。


【意外でしたか?】


 少しだけ。何かいわれると思ってたんだ。

 その時、一人の住人が声をかけてきた。挨拶もそこそこにすべて押し付けて悪かったって、謝られた。

 僕の判断ミスでこんなことになってごめん、といった。声が震えていた。僕も震えていたと思う。しばらく互いに謝り続けて、途中で言葉にならなくなって、それでもまた謝って。どれぐらいたったかな。一緒に頑張ろうって話にまとまったんだ。

 その人は今、気象観測チームを率いているよ。


【スノードロップは何かいっていましたか?】


 彼女は応援してくれたよ。再建計画のグループにちょうどいたんだ。個別のチャットで、きっと、できますって。短い言葉だったけど、だいぶ背中を押されたよ。それと、頼りになる管理者、コミュニケーションチームのリストも。


<コロニー「ヒース 2nd」管理者「ハイデ」はコミュニケーターで星のようにきらめく照明群を指さす>


 スノードロップの言葉を借りるなら、僕らは『やってやった』んだ。見てよ、この立派なコロニーを。

 再建が落ち着いたと思ったら、今度は運営や今後の方針でやることがどんどん増えてる。嬉しい悲鳴って、こういうことだろう?


<ハイデは指さしていた手をそっと欄干に戻した>


 悲鳴をあげながら、いろんな人の手を借りながら、またやってやるとも。成功したときはもっと賑やかになったヒース 2ndに遊びに来てよ。


<彼の見下ろす先には居住区の明かりが見える。生活の輝きだ>

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