その手には絶望か、それとも、希望を『作るのか?』

隅田 天美

無いのなら作っちゃえ! (違法じゃない限り)

「よう、久しぶり」


「お久しぶりです」


「俺を呼んだということは、相当に今、お前さんの心が参っているということだね?」


「ご明察」


「……無理にとは言わないが、言える範囲でいいから言ってみ」


「少し……まあ、家族間トラブルと、己の老いとか……色々……疲れました」


「お前は頑張り屋さんだからなぁ。人に休めとか言っといて、自分は倒れるまで無理をする。お前の悪い癖だ」


「……正直、この世界にいるのが辛くなりました……若い時は『将来は作家になる』と言い聞かせ、今は誤魔化し誤魔化ししているけど、それがこれからも続くとは分からない」


「……」


「まあ、死んだ友人がいるから自殺したら怒られるのが怖いから……なんて言い訳にもならない言い訳をして現世にしがみついている。言い換えりゃあ、彼女がお迎えに来ても一向に困らない」


「……お前、和裁出来るよな?」


「まあ、それなりに」


「料理、出来るよな?」


「独身ですから……」


「小説、どれぐらい書いた?」


「ここだと連載中(連載中断)を含めて百六十ほど……」


「あのな、お前、ずいぶん、自分と未来を卑下しているな」


「?」


「お前は、俺を生んだ。そして、沢山の話を作り読者に伝えた……いいか、よく聞け。これから、世界が大きく変わるかも知れない。お前自身どうなるか、俺は断言できない。でもな、きっと、お前の大好きな俺ならこう言うはずだ。『お前の手で未来は作れる。それを諦めるな!』」


「!?」


「失敗を多くしていた、絶望もしてきた、どれだけ泣いたか……だから、お前は、その分気負い過ぎる。お前は作家になる未来を作りたいんだろう? なら、腕を磨け! 自分の手で未来を作れ!」

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その手には絶望か、それとも、希望を『作るのか?』 隅田 天美 @sumida-amami

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