魔物

その後数日滞在のち、仕事が終わって帰ることになった。

 行きで魔物に襲撃されたこともありダミアン含め護衛たちはピリピリしている。そして案の定、帰りにも奴らはやってきた。

行きよりも数が増えて厄介ではあったものの警戒していたおかげか全員無傷で終わらせる事ができた。

 いや、大体私が片付けたのだった。出会い頭に

「ダミアン……お前には素晴らしい才を感じる……我々と共に来るべきだ……」

 などと抜かしていたのでカッとなって切り捨ててしまった。どうやら予想通りダミアンを狙ってきているようだ。

 ダミアンは私の伴侶だ。私の隣で優しく微笑んでいるのが相応しいのだ。お前達には髪の毛の一本もくれてやらん。

 「アロイス様!」

 背中に抱きつかれる感触がした。

 ふと周囲を見渡せば魔物は全て地に伏している。護衛も私の動きが止まったのを確認したのち事後処理をしている。

「私の為と言いながら私を置いていかないでください……。勧誘を受けたとてあの者たちに与する気はございません……。ですから……」

 ダミアンはぺたりと座り込んで泣いてしまった。私が泣かせてしまったのだ。

「すまない……」

 ダミアンに向かい合い彼の顎を持ち上げ口付けた。

 しょっぱい。私の後悔の味。

「帰りましょう、私たちの家に……」

 ――――――――――――――

 帰宅後護衛に事の顛末を聞かされた両親にそれはもうこってり絞られ叱られた。

「あんな無茶をして!」

「貴方に何かあったらダミアンも含めて皆が辛い思いをするのよ!」

 翌日伴侶仲間として義姉に慰められていたダミアンと会うとふふ……と笑われた。それはもうほぼ夜通しの説教だったので寝不足である。

 お前も泣き腫らして顔を赤くしてるくせに、と笑い返してやった。

 魔物襲撃で仕事も一旦途切れてしまった。一緒に寝てしまおうとダミアンと体を寄せ合った。

「勧誘を受けてすぐ、私が目的なら大人しく従えば危害はないなどと思ったのです。けどあの時の貴方を見て勧誘を受けなくて良かったと思ったのです。アロイス様、私を誑かした責任を一生とってくださいね」

 誑かしたのはどっちだ。私は出会ってからずっとこんなだ。お前も一生責任を取れ。と言うとはいと返事をしてクスクスと笑っている。

 良かった。ダミアンはあんな魔物共ではなく私を選んでくれた。物語は変わったのだ。

 ダミアンが私を信じて側にいてくれるなら私はなんとしてでも幸せにしてみせる。

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