キミのメッセージは、フォントすら愛おしい

主人公の善吉は、冗談のつもりで言ったひと言で、クラスメイトを深く傷つけてしまいます。
喋ることができない彼女に向かって、「君の声が好き」と言ってしまったのです。

一人称のこの物語には、善吉の心の晴れ模様や曇り空が、風景に織り込まれています。
あちこちに、彼の感情が漂ってきて、その描写がどれも素敵でした。

物語の後半は、まるで雨の連続。
善吉の心に降り続ける雨は時に静かで、時に嵐のように荒れ狂います。
そんな中、彼女は雨宿りのようにそっと力をくれる存在になっていました。

心がかき乱される展開の連続に、何度も揺さぶられながら、善吉はそれでも前に進みます。

ぜひ、結末はその目で見届けてください。