後編



"世界なんて滅びてしまえ"

そう思いながら、見上げた真っ青な空は、まるで僕を挑発しているようだった。


それを置き去りにするように、鳥は高く高く飛んで行った。




次の日、布団から出る足は怖いくらい軽かった。

そして、今まで感じたことのないほど、部屋に差し込む朝陽が愛おしい。


公園に行ったが、鳥はもういなかった。


辺りを見渡すと、あの古いランタンが転がっている。


そのとき、ふと足が止まった。


僕は、勘違いに気づかされる。


消えそうな光を必死に繋いでいた、あのランタンは、眩いほどに光っていたんだ。



「そうだったのか。」




光を貰ったのは、僕のほうだった。




「ありがとう。」


天の高いところに向かって、そっと呟く。

きっと風が、あの鳥のところまで、届けてくれるはずだから。



それから、あの鳥を見ることはなかったけれど、僕の心の光は、永遠に消えることはなかった。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

空に溶けた夜明けの使者 夕砂 @yzn123

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ