第2話 戦争終結、そして家族旅行

戦争が終わってから、葉虎は桃園村に戻った。

剣を振るうためではない。今度は、鍛冶屋として人々の役に立つためだった。


桃園村は、四季折々の花が咲き誇る美しい里だ。春には桃の花が一面に咲き、夏は川辺で涼み、秋は金色の稲穂が波打ち、冬は真っ白な雪景色に包まれる。

村人たちは素朴であたたかく、戦争の痛みを抱えながらも、互いに助け合いながら日々を紡いでいた。


葉虎の鍛冶屋は、村はずれの小高い丘に建っていた。

朝になると、村中にカンカンと鉄を打つ音が響く。

その音は、村人たちに「今日も平和な一日が始まった」と知らせる合図のようだった。


「葉虎さん、鍬を直してもらえませんか?」 「この包丁、少し欠けちまっててなあ」


村人たちは次々にやってきた。

葉虎は、大きな手でやさしく道具を持ち上げ、真剣な眼差しで見つめると、炉に火をくべ、赤々と燃えた鉄を叩き始める。


熱く、重く、そして心地いい。


「旅に出よう」葉虎は決意を込めて言った。「家族三人で、この国を見てみよう。戦争で見られなかった場所を。平和な世界を小梅に見せたい」


蓮華の目が輝いた。葉虎は長い間、彼女がこの村を出たいと思っていることを知っていた。特に、兄が亡くなってからは。


「行こう」蓮華は小梅の髪をなでながら言った。「小梅、旅に出たい?」

小梅は跳ねるように喜んだ。「行きたい!行きたい!お母さんの故郷も見たい!」

葉虎は笑った。妻は南の王国からの移民だった。彼女の故郷である蓮の湖を訪れることは、蓮華にとって大きな意味を持つだろう。

「決まりだ」葉虎は言った。「準備をしよう。この春が終わる前に出発する」

その夜、葉虎は久しぶりに静かな眠りについた。夢の中で彼は、家族とともに広大な大地を旅していた。


「これは必要かしら?」蓮華は古びた銅の鏡を手に取り、考え込んだ。「旅には重すぎるかも」

葉虎は鍛冶道具を整理しながら肩越しに妻を見た。「お気に入りのものなら持っていけばいい。でも軽装で行こう」

桃園村から出る決意をしてから一週間、彼らは旅の準備に没頭していた。葉虎は村での仕事を徐々に減らし、代わりに若い弟子に技術を教え始めていた。

小梅はキラキラした目で尋ねた。「お父さん、どこに行くの?」

「まずはお母さんの故郷、蓮の湖だ。それから…」葉虎は地図を広げた。「東の海、西の大平原、そして伝説の桃源郷も」

「桃源郷?」小梅は目を丸くした。「おじいちゃんが話してくれた場所?」

「そう」葉虎は娘の頭をなでた。「桃源郷は神話の場所だけど、似たような美しい谷があるという噂だ。それを探してみよう」

蓮華は懐かしそうに微笑んだ。「私の村では、桃源郷は死後の世界ではなく、この世のどこかにある隠れた楽園だと言われていたわ」

「見つけられるかな?」小梅は興奮して跳ねた。

「探してみよう」葉虎は答えた。「それが旅の意味だ」

準備は順調に進んだ。葉虎は旅のための軽い荷車を作り、必要最小限の荷物を詰め込んだ。食料、衣類、少しの薬、そして護身用の短剣。戦争が終わったとはいえ、山賊や盗賊の危険は残っていた。

村の人々は彼らの決断に様々な反応を示した。

「戦争が終わったばかりだぞ」ある老人は忠告した。「道はまだ危険かもしれない」


しかし多くの村人は、彼らの旅を祝福してくれた。特に蓮華の友人たちは、彼女が故郷を再訪できることを心から喜んでくれた。

出発の前日、葉虎は最後の仕事として、小さな護符を三つ鍛えた。それぞれに家族の名前を刻み、銀の鎖でつないだ。

「これを身につけよう」彼は夕食後、家族に渡した。「どんなに遠くに行っても、私たちは繋がっている」

蓮華は目に涙を浮かべながら護符を首にかけた。「美しいわ」

小梅も嬉しそうに護符を見つめた。「お父さんが作ったの?」

「ああ」葉虎は頷いた。その夜、葉虎は村の長老を訪ねた。

「明日出発します」彼は深く頭を下げた。「長い間お世話になりました」

老人は穏やかに微笑んだ。「葉虎、お前は良い仕事をした。今度は家族のために生きる時だ」

「戻ってくるつもりです」

「もちろんだ」老人は言った。「だが、もし素晴らしい場所を見つけたら、そこに留まるのも悪くない。人生は一度きりだからな」

葉虎は感謝の意を表し、月明かりの中を家路についた。明日から始まる旅に、不安と期待が交錯していた。


朝露が草に輝く早朝、葉虎の家の前には村人たちが集まっていた。小さな荷車に最後の荷物を積み込み、葉虎は村人たちに別れの挨拶をした。

「戻ってきたら、また良い刃物を作ってくれよ」村の狩人が肩を叩いた。

「私の孫のために、お土産を忘れないでね」年老いた女性が蓮華の手を握った。

小梅は友達と別れを惜しみ、約束をした。「帰ってきたら、たくさんのお話をするからね」

最後に村長が前に出て、一家に旅のお守りを手渡した。「道中の安全を祈る。葉虎、お前の技術は村の宝だった。蓮華、お前の優しさは多くの人を癒した。小梅、お前の笑顔は村の希望だった。どうか無事に旅を終え、また会える日を楽しみにしている」

葉虎は深く頭を下げた。「ありがとうございます。必ず戻ってきます」

蓮華は涙ぐみながら村人たちに手を振った。彼女にとって桃園村は第二の故郷だった。夫との出会い、娘の誕生、そして戦争の苦難を共に乗り越えた場所。

小梅は元気よく手を振り、「行ってきます!」と叫んだ。

葉虎は荷車の紐を肩にかけ、蓮華と小梅を先導して村の出口へと向かった。彼らが村の境界を越えた時、朝日が完全に昇り、道を黄金色に照らしていた。

「どっちに行くの?」小梅が尋ねた。

葉虎は南を指さした。「まずは南へ。お母さんの故郷、蓮の湖を目指す」

彼らは南への大きな街道に出た。戦争中は軍隊の行進で埋め尽くされていたこの道も、今は商人や旅人でにぎわっていた。平和がもたらした変化を、肌で感じることができた。

「久しぶりね、こんな光景」蓮華は道端に咲く花を見つめながら言った。「戦争中は花も咲かなかったように思える」

葉虎は頷いた。「戦争は多くのものを奪った。だが今、新しい始まりだ」

小梅は道端で小さな石を拾い、ポケットに入れた。「お土産にするの」彼女は誇らしげに言った。

最初の休憩地点で、彼らは旅の商人と出会った。老いた商人は北から来たと言い、戦争の終結を祝う祭りの話を聞かせてくれた。

「王都では七日七晩、祭りが続いたそうだ」商人は言った。「人々は平和の訪れを心から喜んでいる」

「天覇帝国は?」葉虎は慎重に尋ねた。かつての敵について話すのは、まだ奇妙な感覚だった。

「彼らも同じさ」商人は答えた。「戦争に疲れていたんだ、皆」

その言葉を聞いて、葉虎は少し考え込んだ。敵も味方も、戦争の苦しみは同じだったのだろう。

道は徐々に森の中へと入っていった。陽の光が木々の間から漏れ、地面に模様を描いていた。小梅はその光の中を跳ねるように歩き、時々立ち止まっては花や虫を観察した。

「お母さん、これ見て!」彼女は小さな青い蝶を指さした。「きれい!」

蓮華は娘のそばに膝をついた。「南の国では、青い蝶は幸運の象徴よ」

「本当?じゃあ私たちの旅も幸運なの?」

「きっとそうよ」蓮華は微笑んだ。

夕暮れ時、彼らは小さな川のほとりにテントを張った。葉虎が火を起こし、蓮華が持参した鍋で簡単な夕食を作った。小梅は川の浅瀬で小魚を見つけ、はしゃいでいた。

「初めての夜だな」葉虎は火を見つめながら言った。「村を出て、こうして野宿するのは」

蓮華は彼の横に座り、肩に頭を寄せた。「怖くない?」

「いや」葉虎は首を振った。「むしろ、自由を感じる。長い間、鍛冶場と家の間だけを行き来していた。こうして広い世界を見るのは新鮮だ」

食事の後、三人は星空の下で横になった。小梅はすぐに眠りについたが、葉虎と蓮華はしばらく星を見つめていた。

「蓮華」葉虎は静かに呼びかけた。「後悔していない?村を出たこと」

蓮華は首を振った。「いいえ。ずっと夢見ていたことよ。特に…」彼女は言葉を詰まらせた。

「兄さんが亡くなってから?」

「ええ」蓮華は小さく頷いた。「兄が死んで、村にいても思い出ばかりが襲ってきた。新しい景色を見たかった」

葉虎は妻の手を握った。「蓮の湖に着いたら、兄さんの霊を弔おう」

蓮華は涙を流しながら頷いた。最愛の兄は、戦争の初期に前線で命を落としていた。彼の遺体は故郷に戻ることなく、戦場に埋められたという。

「ありがとう」蓮華はつぶやいた。「あなたは本当に優しい人ね」

葉虎は照れくさそうに微笑んだ。「さあ、寝よう。明日も長い道のりだ」

星が瞬く夜空の下、葉虎一家は初めての旅の夜を過ごした。未知の冒険がこれから始まるという期待と、わずかな不安が入り混じる中で。


旅が始まって三日目、彼らは小さな村に立ち寄った。村の中心には市場があり、様々な商品が並んでいた。戦争中は見られなかった活気が戻っていた。

「わあ、見て!」小梅は色とりどりの布を売る店の前で足を止めた。「きれい」

蓮華も興味深そうに布を触った。「こんな鮮やかな色の布は久しぶりね。戦争中は染料も不足していたもの」

店主の老婆が彼らに微笑みかけた。「旅の方々かい?」

「はい」葉虎は答えた。「南の蓮の湖を目指しています」

「蓮の湖!」老婆は目を輝かせた。「私の若い頃、あそこで恋をしたものさ。美しい場所だよ」

蓮華は興味を示した。「いつ頃でしたか?」

「もう五十年以上前さ」老婆は懐かしそうに答えた。「あの頃は湖の周りに七つの村があった。今はどうかな」

「私が離れた時は五つでした」蓮華は言った。「戦争の間に何があったか…」彼女の声は途切れた。

老婆は理解したように頷き、話題を変えた。「この青い布、娘さんに似合うよ。お守りを縫い込んであげるといい」

葉虎は布を購入し、老婆にお礼を言った。市場をさらに歩くと、食料や日用品も買い足すことができた。

村を出る前、彼らは旅人のための休憩所で昼食をとることにした。そこには様々な地方から来た人々が集まっていた。

「あなたは鍛冶屋かい?」隣に座っていた中年の男性が葉虎に尋ねた。

葉虎は驚いた。「どうしてわかるんですか?」

男は葉虎の腕を指さした。「その腕の筋肉と火傷の跡だ。私も若い頃は鍛冶を学んでいた。今は商人だがね」

二人は鍛冶の技術について話し始めた。男は北方の天覇帝国での鍛冶法について知っており、葉虎は興味深く聞いた。

「敵国のことを知るのは不思議な感じだ」葉虎は正直に言った。

男は苦笑した。「戦争は終わったんだ。これからは交流の時代さ。実は私も天覇帝国の出身だ」

葉虎は一瞬緊張したが、すぐに自分の反応を恥じた。「そうでしたか。色々教えてください」

食事の間、男は帝国の文化や風習について語ってくれた。小梅は特に、雪祭りの話に目を輝かせた。

「雪の彫刻を作るの?見てみたい!」

男は笑った。「来年の冬、北に行けば見られるだろう。国境も開かれるはずだ」

別れ際、男は葉虎に小さな天覇帝国製の鋼の欠片を贈った。「良い鋼だ。研究してみるといい」

葉虎は感謝し、お返しにポケットナイフを贈った。「私の作品です」

「素晴らしい出会いだったわね」休憩所を出た後、蓮華は言った。

葉虎は頷いた。「戦争中なら考えられなかったことだ。敵国の人と友好的に話すなんて」

「でも、みんな同じ人間なんだよね」小梅が無邪気に言った。「どこの国の人でも」

葉虎と蓮華は娘の言葉に驚き、そして微笑みを交わした。子供の純粋な視点は、時に大人以上の真実を見抜くものだった。

その日の午後、彼らは険しい山道を通ることになった。かつて軍隊が通った跡があり、道は荒れていた。

「気をつけて」葉虎は家族に声をかけ、先頭に立った。

山道の途中、彼らは倒れている老人を見つけた。足を怪我しているようだった。

「大丈夫ですか?」葉虎は老人に駆け寄った。

老人はうめいた。「崖から滑り落ちてしまった。村に戻ろうとしていたんだが…」

蓮華はすぐに持参した薬と包帯を取り出した。「傷を見せてください」

彼女は老人の足を丁寧に処置した。兄が戦場に出る前、医術の基本を教わっていたのだ。

「ありがとう、お嬢さん」老人は感謝の声を上げた。「こんな山中で助けてもらえるとは」

葉虎は老人を荷車に乗せることにした。「次の村まで一緒に行きましょう」

老人は感謝しながらも、警戒の色を見せた。「見知らぬ人を信用して大丈夫かね?」

「戦争は終わりました」葉虎は言った。「信頼を取り戻す時です」

老人の名はリーといい、近くの村の長老だった。道中、彼は地域の伝説や歴史について語ってくれた。特に、遠い山の向こうにあるという桃源郷の話を詳しく知っていた。

「桃源郷は実在するのですか?」葉虎は興味深く尋ねた。

「見た者はほとんどいないが、存在すると信じている」老人は答えた。「真の平和を求める心を持つ者だけが見つけられるという」

小梅は目を輝かせた。「私たち、見つけられるかな?」

老人は小梅の頭をなでた。「純粋な心を持つ子供なら、きっと見つけられるだろう」

夕方、彼らはリーの村に到着した。村人たちは行方不明になっていた長老の帰還を喜び、葉虎一家を歓迎してくれた。

「今夜はうちで休んでいきなさい」リーは申し出た。「明日の朝、蓮の湖への最短ルートを教えよう」

彼らはその申し出を受け入れた。村人たちの温かいもてなしを受けながら、葉虎は思った。戦争が終わり、人々の間に信頼が戻りつつあること。それが平和の最初の兆しなのだろう。


リーの村を後にした葉虎たちは、蓮の湖へと続く道を進んだ。リーが教えてくれた近道は、人通りが少なく静かだった。両側には背の高い竹林が広がり、風が吹くたびに葉が優しいささやきを奏でた。

「この道、覚えているわ」蓮華は懐かしそうに周囲を見回した。「子供の頃、兄と一緒に通った道」

小梅は母親の手を握った。「お母さんの兄さんって、どんな人だったの?」

蓮華は少し悲しげに微笑んだ。「とても優しくて強い人だったわ。あなたみたいに好奇心旺盛で、いつも私を冒険に連れ出してくれた」

葉虎は黙って二人の会話を聞いていた。蓮華の兄、リンは彼にとっても大切な友人だった。戦争が始まる前、リンは葉虎に妹を紹介し、二人は恋に落ちた。そして戦争中、リンは最前線で命を落とした。

「リン兄さんは今でも、私たちを見守っていると思う」葉虎は静かに言った。

蓮華は感謝の眼差しを夫に向けた。彼女は滅多に兄の話をしなかったが、心の中ではいつも彼のことを思っていた。

昼過ぎ、彼らは小さな峠を越えた。そこからの眺めは息をのむほど美しかった。遠くに青い湖面が輝いて見えた。

「あれが蓮の湖!」蓮華は興奮して叫んだ。「見て、小梅、あそこが私の生まれた場所よ」

小梅は目を見開いた。「わあ、きれいだね!」

葉虎も感動した。「まるで絵のようだ」

彼らは足早に下り坂を進み、湖に近づいていった。道中、いくつかの小さな村を通り過ぎた。村人たちは旅人一家に好奇の目を向けたが、蓮華が地元の言葉で挨拶すると、温かく迎え入れてくれた。

「蓮家の娘さんかい?」ある老婆が蓮華を見て驚いた。「リンの妹さんね。よく覚えているよ」

蓮華は深く頭を下げた。「はい、リンは私の兄です。戦争で…」

老婆は悲しそうに頷いた。「知っているよ。多くの若者が戻ってこなかった。あなたが戻ってきて嬉しいよ」

その言葉に、蓮華の目に涙が浮かんだ。

夕方、彼らはついに蓮の湖のほとりに到着した。湖面には蓮の花が咲き誇り、夕日に照らされて幻想的な景色を作り出していた。

「変わっていないわ」蓮華はつぶやいた。「十五年経っても、同じ美しさ」

彼らは湖畔に小さなテントを張った。葉虎が火を起こし、蓮華は地元の市場で買った新鮮な魚を調理した。小梅は湖の浅瀬で遊び、時折蓮の花を触って歓声を上げていた。

夕食後、蓮華は湖のほとりに立ち、月明かりに照らされる水面を見つめていた。葉虎が彼女の横に立った。

「明日、兄さんのために祈りを捧げよう」彼は優しく言った。

蓮華は頷いた。「ありがとう。湖の中心に小さな島があるの。そこに神社があって、昔から湖の守護神を祀っているの。そこで祈りたい」

翌朝、彼らは地元の漁師から小舟を借り、湖の中心にある小島へと向かった。葉虎が櫂を操り、蓮華と小梅は周りの景色を楽しんだ。

「お母さん、これ見て!」小梅が水中を指さした。

湖の底には、古代の建物の遺跡が見えた。水は驚くほど透明で、沈んだ寺院のような建物の輪郭がはっきりと見えた。

「あれは古い時代の寺院よ」蓮華は説明した。「湖の水位が上がって沈んだと言われているわ。私が子供の頃、兄と一緒に泳いで中を探検したことがあるの」

「すごい!」小梅は目を輝かせた。「私も探検したい!」

「また今度ね」蓮華は笑った。「まずは島に行きましょう」

島に到着すると、石段が山の上まで続いていた。彼らは静かに階段を上り、頂上の小さな神社に着いた。神社は古く、しかし丁寧に維持されていた。赤い鳥居が入口に立ち、周りには樹齢何百年という古木が茂っていた。

蓮華は神社の前で膝をつき、持参した線香を灯した。彼女は目を閉じ、兄の霊に語りかけた。葉虎と小梅も隣に座り、黙祷した。

「リン兄さん、私は戻ってきました」蓮華は静かに話し始めた。「戦争は終わり、平和が訪れました。あなたの犠牲は無駄ではなかったと伝えたくて。私たちは幸せに暮らしています。小梅はあなたに似て、好奇心旺盛で勇敢な子に育っています」

彼女の言葉が終わると、不思議なことに風が吹き、神社の鈴が静かに鳴った。蓮華は涙を流しながら微笑んだ。

「感じた?」彼女は葉虎に尋ねた。「兄が応えてくれたわ」

葉虎は頷いた。神秘的な瞬間を共有できたことに感謝した。

彼らが神社を後にしようとした時、年老いた神主が現れた。

「蓮家の娘ですね」神主は蓮華を見て言った。「あなたの帰りを湖が待っていました」

蓮華は驚いた。「覚えていてくださったのですか?」

「もちろん」神主は優しく微笑んだ。「あなたの兄、リンとあなたはよくここに来ていた。リンが戦争に行く前日も、ここで祈りを捧げていたよ」

その言葉に、蓮華の目に新たな涙が浮かんだ。「知りませんでした…」

「彼は家族の安全を祈っていました」神主は続けた。「そして、戻れなかった場合は、この湖が彼の魂の安息の地になると言っていました」

葉虎は妻の肩に手を置いた。神主の言葉は悲しくも、同時に慰めになった。

「ありがとうございます」葉虎は神主に頭を下げた。「妻の故郷に戻れたことは、私たちの旅の大切な一部です」

神主は葉虎をじっと見つめた。「あなたは鍛冶屋ですね。戦争のために多くの武器を作ったでしょう」

葉虎は顔を曇らせたが、正直に答えた。「はい。それは私の使命でした」

「そして今は?」

「平和のために生きることです」葉虎は決意を込めて言った。「二度と戦争を起こさないために、私にできることをしたい」

神主は満足そうに頷いた。「良い答えだ。さあ、古い寺の遺跡について話そう。それは桃源郷への道を知る鍵かもしれない」

三人は神主に導かれ、神社の奥にある小さな建物に入った。そこには古い巻物や地図が保管されていた。

「伝説によれば」神主は古い地図を広げながら説明した。「桃源郷への道は悟りを開いた者だけに見えるという。しかし、いくつかの手がかりがある。蓮の湖から西に向かい、三つの峰を越えた先に隠れた谷があると言われている」

小梅は興味深そうに地図を覗き込んだ。「本当に行けるの?」

神主は小梅の頭をなでた。「純粋な心を持つ者なら、見つけられるかもしれない」

彼らは神主から桃源郷についての伝説をさらに聞き、貴重な情報を得た。蓮華は故郷の湖にもう一度手を浸し、別れを告げた。

「また来るわ」彼女は湖に向かって約束した。「そして兄さん、安らかに」

島を後にした彼らは、蓮華の生まれた村へと向かった。村は湖の西岸にあり、美しい蓮の花に囲まれていた。村人たちは蓮華の帰還を聞きつけ、熱烈に歓迎してくれた。

「お帰り、蓮華」中年の女性が彼女を抱きしめた。「覚えている?私はメイよ、子供の頃の友達」

蓮華は涙を流しながら友人を抱きしめ返した。「もちろん覚えているわ。変わらないわね」

「あなたこそ」メイは笑った。「相変わらず美しい」

葉虎と小梅も村人たちに温かく迎えられた。特に小梅は同年代の子供たちとすぐに打ち解け、湖で泳いだり、木登りをしたりして遊んだ。

「ここで数日過ごしましょう」葉虎は蓮華に提案した。「あなたの故郷をゆっくり感じるといい」

蓮華は感謝の眼差しを夫に向けた。「ありがとう。少し長く滞在したいわ」

第六章:故郷での再会

蓮の湖畔の村での滞在は、蓮華にとって感慨深いものだった。彼女の両親は既に他界していたが、父の古い友人が彼らの家を守っていてくれた。

「あなたのために残していたんだよ」老人は蓮華に家の鍵を渡した。「いつか戻ってくると信じていた」

蓮華は涙を流しながら感謝した。家の中に入ると、子供 時代の記憶が鮮明に蘇った。兄と遊んだ中庭、母が料理をしていた台所、父が読書をしていた縁側。全てが変わらずそこにあった。

「お母さんの家、素敵!」小梅は興奮して家の中を駆け回った。「この部屋は?」

「それは私の部屋だったのよ」蓮華は微笑んで答えた。「そして隣は兄の部屋」

葉虎は静かに家の中を歩き回った。妻が育った場所を見ることで、彼女をより深く理解できた気がした。壁には若い頃の蓮華と兄の絵が飾られていた。

「似ているね」葉虎は絵を見ながら言った。「小梅は、あなたとリン兄さんの良いところを受け継いでいる」

その日の夕方、村の長老が訪れ、彼らを歓迎の宴に招待した。村の広場では、テーブルが並べられ、様々な料理が用意されていた。村人たちは歌い、踊り、蓮華の帰還を祝った。

「戦争が終わって良かった」村長は杯を上げて言った。「我々の村からも多くの若者が戦いに行き、戻らなかった。しかし蓮華が戻ってきてくれた。これは希望の象徴だ」

宴の最中、メイは蓮華に近づいてささやいた。「驚くべきニュースがあるわ。あなたの兄、リンの婚約者だったスーミンのこと、覚えている?」

蓮華は驚いた。「もちろん。彼女は兄の死後、どうしているの?」

「彼女は兄の子を産んだのよ」メイは静かに言った。「今、近くの村で暮らしている。明日、会いに行ったら?」

蓮華は震える手で口を覆った。「兄に…子供が?」

葉虎も驚きの表情を浮かべた。「リン兄さんの子…」

翌日、彼らはスーミンの住む村へ向かった。小さな農家の前で、美しい女性が立っていた。彼女の横には、十歳ほどの少年がいた。

「スーミン…」蓮華は涙ながらに呼びかけた。

スーミンは振り返り、蓮華を見るなり走り寄ってきた。「蓮華!本当に戻ってきたのね!」

二人は強く抱き合い、涙を流した。その後、蓮華は少年に近づいた。

「あなたが…リンの子?」

少年は礼儀正しく頭を下げた。「はい、僕の名前はリン・ジュンです。父さんの名前をもらいました」

蓮華は言葉を失った。少年は兄にそっくりだった。同じ優しい目、同じ強い顎線、そして同じ凛とした佇まい。

「初めまして、叔母さん」少年は微笑んだ。

蓮華は少年を抱きしめた。「リン・ジュン、会えて嬉しいわ」

家の中で、スーミンは全てを説明した。彼女はリンの出征直前に婚約し、彼が戦地に向かった後に妊娠していることを知った。リンの死の知らせが届いた時、彼女は絶望したが、お腹の子のために生きることを決意した。

「彼は父親のことを誇りに思って育っています」スーミンは言った。「リンが英雄だったことを」

葉虎は少年に近づき、彼の肩に手を置いた。「あなたのお父さんは、私の大切な友人でした。彼は本当に勇敢で誠実な人でした」

リン・ジュンは葉虎を見上げた。「あなたは鍛冶屋ですか?父さんの手紙に、桃園村の鍛冶屋の友人のことが書いてありました」

「そうだ」葉虎は微笑んだ。「私が葉虎だ」

「父さんは、あなたの作った剣を持って戦場に行ったと書いていました」

葉虎は息を呑んだ。「そうだ…私が作った剣だった」

リン・ジュンは真剣な表情で言った。「その剣が、父さんの命を救ったと手紙にありました。最後まで」

葉虎の目に涙が浮かんだ。自分の作った武器が友の命を少しでも長らえさせたと知り、複雑な感情が湧き上がった。

その日、彼らはスーミンとリン・ジュンと多くの時間を過ごした。小梅はすぐにいとこと仲良くなり、二人は湖で遊んだ。

夕方、スーミンは蓮華に古い箱を見せた。「これはリンがあなたに渡してほしいと言っていたもの」

箱の中には、美しい翡翠の櫛と古い地図が入っていた。

「この地図…」蓮華は驚いた。「桃源郷への道?」

スーミンは頷いた。「リンはいつも桃源郷を探す旅に出たいと言っていました。戦争が終わったら、家族全員で行くつもりだったのです」

蓮華は地図を広げた。神主が見せてくれたものより詳細で、山々の間に隠れた谷への道が記されていた。

「これは本物なのかしら?」

「リンは信じていました」スーミンは言った。「彼は死の直前に送った手紙で、『戦争が終わったら、桃源郷を探す旅に出る。それが私たちの夢だ』と書いていました」

葉虎は地図を見つめた。「私たちの旅の目的は、まさにそれだった」

その夜、葉虎と蓮華はリン・ジュンとスーミンを自分たちの旅に誘った。

「一緒に来ませんか?」葉虎は提案した。「リン兄さんの夢を、一緒に叶えたい」

スーミンは迷った様子だった。「旅は危険かもしれません。リン・ジュンはまだ子供ですし…」

「でも母さん」リン・ジュンは熱心に言った。「これは父さんの夢だったんだよ。僕も行きたい!」

蓮華はスーミンの手を取った。「無理強いはしないわ。でも、もし良ければ…家族として一緒に旅をしたいの」

スーミンは少し考え、そして決意を固めたように頷いた。「わかりました。リンの夢を叶えるために、私たちも行きます」

こうして、葉虎の家族の旅は新たなメンバーを加え、さらなる冒険へと向かうことになった。


蓮の湖を後にした一行は、リンの地図に従って西へと進んだ。葉虎、蓮華、小梅に加え、スーミンとリン・ジュンの五人となった彼らの旅は、賑やかで心強いものとなった。

「三つの峰を越えると、桃源郷への入り口があるはずだ」葉虎は地図を見ながら言った。

最初の山は比較的簡単に越えられた。広い山道があり、時折他の旅人にも出会った。山頂からは、遠く離れた蓮の湖と、その向こうに広がる平原が見えた。

「もう随分来たんだね」小梅は感慨深げに言った。

リン・ジュンは誇らしげに胸を張った。「これからが本当の旅だよ」

二人の子供は旅の間にすっかり仲良くなっていた。リン・ジュンは小梅より二歳年上で、彼女を妹のように気にかけ、時には山道の歩き方や植物の見分け方を教えていた。

二つ目の山はより険しく、道も細くなっていた。途中、彼らは古い寺院の廃墟を見つけた。

「ここで休もう」葉虎は提案した。

廃墟の中を探検すると、崩れた壁に古い壁画が残っていた。それは山々の間に隠れた楽園の様子を描いたもので、人々が平和に暮らす姿が見えた。

「これが桃源郷の絵かしら?」蓮華は壁画に触れた。

「似ているわね」スーミンは頷いた。「リンの話していた通りよ」

夜、彼らは廃墟の一室で火を囲んでいた。月明かりが壊れた天井から差し込み、神秘的な雰囲気を作り出していた。

「お父さん」小梅が葉虎に尋ねた。「桃源郷に着いたら、私たちはそこに住むの?」

葉虎は娘の質問に考え込んだ。「それは…見つけてからのお楽しみかな。まず見つけることが大事だ」

「僕は父さんの夢を見たいだけ」リン・ジュンは静かに言った。「そして…できれば父さんの剣を取り戻したい」

全員が黙り込んだ。リンの剣は、彼の遺品として重要な意味を持っていた。しかし戦場で失われ、今はどこにあるかわからなかった。

「剣を探すのは難しいかもしれない」葉虎は正直に言った。「でも、努力はしよう」

三つ目の山は最も険しかった。道はほとんどなく、彼らは獣道を頼りに登っていった。途中、突然の嵐に見舞われ、洞窟に避難することになった。

「この嵐、すぐには収まりそうにないな」葉虎は洞窟の入り口から空を見上げた。

奥から声が聞こえた。「誰か来たのか?」

皆が驚いて振り返ると、洞窟の奥から老人が姿を現した。白髪と長い髭を持ち、質素な服を着ていた。

「ご迷惑でなければ、嵐が過ぎるまでここにいさせてください」葉虎は頭を下げた。

老人は彼らをじっと見つめ、そして微笑んだ。「構わない。むしろ嬉しい。久しく人と話していなかったからな」

彼らは火を囲み、老人と話をした。老人の名は石淵といい、かつて将軍だったが、戦争の悲惨さに絶望し、隠遁生活を送るようになったという。

「桃源郷を探していたのだ」老人は静かに語った。「しかし見つからず、ここで修行の日々を送っている」

葉虎は驚いた。「私たちも桃源郷を探しています」

「そうか」老人は目を細めた。「多くの者が探すが、見つける者は少ない。なぜ探しているのだ?」

それぞれが答えた。

「平和な場所を見つけるため」葉虎は言った。

「兄の夢を叶えるため」蓮華は答えた。

「父の足跡をたどるため」リン・ジュンは言った。

「新しい始まりのため」スーミンはつぶやいた。

「きれいな場所が見たいから」小梅は無邪気に答えた。

老人はしばらく黙っていたが、やがて頷いた。「純粋な動機だ。特に」彼は小梅を見た。「子供の純粋さは最も価値がある」

嵐が過ぎた後、老人は彼らに別の道を教えた。「この道を行けば、三日で山を越えられる。そして…」彼は小さな木製の札を葉虎に渡した。「これを持っていくといい。道標だ」

葉虎は礼を言い、札を受け取った。それには「帰郷」の二文字が刻まれていた。

老人の教えた道は確かに通りやすく、三日後、彼らは三つ目の山を越えた。そこからの眺めは息をのむほど美しかった。広大な谷が広がり、霧に包まれた村々が点在していた。

「あれが…桃源郷?」スーミンは驚いて声を上げた。

「まだわからない」葉虎は言った。「降りてみよう」

彼らは慎重に山を下り、谷へと向かった。途中、小川を渡る必要があったが、橋は壊れていた。

「どうしよう」蓮華は心配そうに川を見た。

リン・ジュンは周囲を見回し、倒れた木を見つけた。「あれを使って橋を作れないかな?」

葉虎は頷き、荷物から道具を取り出した。「良い考えだ。協力して作ろう」

彼らは力を合わせて簡易な橋を作り、無事に川を渡った。そこから先は、霧が濃くなり、道が見えにくくなった。

「手をつないでいよう」葉虎は提案した。全員が手をつなぎ、ゆっくりと霧の中を進んだ。

突然、霧が晴れ、彼らの目の前に美しい村が現れた。桃の木が咲き誇り、小さな家々が丘の上に点在していた。川が村を縦断し、清らかな水音が響いていた。

「ここが…桃源郷?」蓮華は息をのんだ。

村の入り口に立つと、老人が彼らを迎えた。それは石淵とは別人だった。

「ようこそ、旅人たち」老人は微笑んだ。「桃源の里へ」

彼らは村に招かれ、歓迎された。村人たちは穏やかで、戦争の話題はなく、ただ日々の暮らしを楽しんでいるようだった。

「ここは本当に桃源郷なのですか?」葉虎は村長に尋ねた。

村長は微笑んだ。「名前は重要ではない。ここは平和を求める者が集まる場所だ。戦争から逃れ、静かに暮らしたいと願う者たちの村だ」

夜、彼らは村の広場で催される祭りに参加した。美しい音楽と踊り、豊かな食事が提供された。子供たちは他の子供と遊び、大人たちは村人と交流した。

祭りの最中、一人の村人が葉虎に近づいた。「あなたは鍛冶屋ですね」

葉虎は驚いた。「はい、そうです」

「これをお見せしたいものがあります」男は葉虎を小さな家に案内した。そこには古い剣が飾られていた。

葉虎はその剣を見るなり、息を呑んだ。「これは…私が作った剣だ。リン兄さんの…」

男は頷いた。「私はかつて天覇帝国の兵士でした。戦場でこの剣の持ち主と戦い、彼は命を落としました。しかし彼の勇気に心を打たれ、彼の剣を持ち帰りました。戦争が終わった後、私はここに来たのです」

葉虎は言葉を失った。敵兵が、リンの剣を大切に保管していたとは。

「リン・ジュンを連れてきてください」葉虎は静かに言った。「彼の父の剣です」

リン・ジュンが部屋に入ると、彼は即座に剣を認識した。「父さんの…」

男は深く頭を下げた。「あなたの父は勇敢な戦士でした。彼と戦ったことを誇りに思います。そして今、この剣をあなたに返します」

リン・ジュンは震える手で剣を受け取った。「ありがとうございます」

その夜、葉虎一家とスーミン親子は村の一角に宿を提供された。明日以降のことについて、彼らは話し合った。

「ここに留まりますか?」スーミンは尋ねた。「この村は確かに平和で美しい」

葉虎と蓮華は互いを見つめた。

「どう思う?」葉虎は妻に尋ねた。

蓮華は窓の外を見つめた。「私たちの旅は、まだ終わっていないような気がする。もっと見たい場所がある」

「そうだね」葉虎は頷いた。「桃源郷は一つではないのかもしれない。私たちは自分たちの桃源郷を作る旅の途中なんだ」

スーミンは考え込んだ。「私とリン・ジュンは…ここに残るかもしれません。リンの剣も見つかったし、ここなら平和に暮らせそうです」

葉虎は理解を示した。「それがあなたたちの選択なら、尊重します」

彼らは眠りについたが、葉虎の心の中では、まだ何かが落ち着かなかった。本当の桃源郷とは何なのか。それは場所なのか、それとも心の状態なのか。

朝日が村を照らす頃、葉虎は早くに目を覚まし、村の周りを散歩していた。桃の花が風に舞い、美しい景色を作り出していた。

「早いですね」村長が彼に声をかけた。

「眠れなくて」葉虎は正直に答えた。「この村について考えていました」

村長は彼の横に立った。「何か気になることでも?」

「ここが本当に桃源郷なのか、まだ確信が持てません」

村長は静かに笑った。「桃源郷とは何だと思いますか?」

葉虎は考えた。「平和な場所。戦争のない、争いのない理想郷」

「それはただの場所の描写です」村長は言った。「桃源郷の本質は、場所ではなく、心の中にあるものです」

葉虎は村長の言葉に耳を傾けた。

「真の桃源郷とは、自分の心が平和を見出した時に現れるもの」村長は続けた。「あなたは戦争中、多くの武器を作りました。その罪悪感から逃れるために旅に出たのではないですか?」

葉虎は驚いた。村長の言葉は彼の心の奥深くを突いていた。

「確かに…そうかもしれません」

「桃源郷を探す旅は、実は自分自身を見つける旅なのです」村長は優しく言った。「あなたの家族、特に娘さんの幸せを見ることで、あなたは少しずつ平和を見つけているでしょう?」

葉虎は小さく頷いた。確かに、小梅の笑顔を見る度に、彼の心は軽くなった。そして蓮華が故郷で兄の霊に別れを告げた時、彼女の表情が穏やかになったことも。

「私たちの村は、単なる避難所です」村長は言った。「真の桃源郷は、あなたが自分の過去と和解し、未来への希望を見出すところにあります」

その日、葉虎は家族と話し合った。スーミンとリン・ジュンは村に残ることを決めた。リン・ジュンは父の剣を持ち、ここで新しい生活を始める決意をした。


「でも、また会えるよね?」小梅はいとこに尋ねた。

リン・ジュンは頷いた。「もちろん。君たちがどこに住むことになっても、必ず会いに行くよ。それに、これからは戦争もないんだ。自由に行き来できる」

スーミンは蓮華を抱きしめた。「本当に感謝しています。あなたたちがいなければ、この場所も、リンの剣も見つけられなかった」

「私たちこそ」蓮華は涙を流した。「リンの形見の品を見つけられて嬉しいわ」

別れの朝、村全体が彼らを見送るために集まった。リン・ジュンは誇らしげに父の剣を持ち、葉虎に深く頭を下げた。

「叔父さん、いつか鍛冶の技術を教えてください」

葉虎は少年の頭をなでた。「もちろんだ。次に会う時は、もっと成長しているだろうね」

小梅はリン・ジュンに小さな木彫りの鳥を渡した。道中で彼女が作ったものだった。

「これ、持っていて。私が作ったの」

リン・ジュンは大切そうに受け取った。「ありがとう。大事にするよ」

村長は葉虎に小さな巻物を手渡した。「これは、あなたが本当の桃源郷を見つける助けになるでしょう」

葉虎は感謝し、巻物を受け取った。それには簡素な詩が書かれていた。

「心静かに流れる水を見れば、桃源郷は目の前に広がる」

葉虎はその言葉を胸に刻んだ。

彼らは村を後にし、山を越えて新たな道へと向かった。今度は東の大海を目指すことにした。小梅は時々振り返りながら、村とそこに残したいとこに手を振った。

「また会えるよね、お父さん?」

「ああ、必ず」葉虎は答えた。「私たちの旅は続くけれど、いつでも戻れる場所ができたんだ」

山を下りる道中、彼らは村長の言葉について考えた。桃源郷は特定の場所ではなく、心の中にあるもの。葉虎は自分がまだ探していることを感じた。過去の罪悪感から完全に解放されるには、もう少し時間が必要だった。

数日後、彼らは広大な平原に出た。風が草原を撫で、波のように草が揺れる美しい光景が広がっていた。

「ここで休もう」葉虎は提案した。彼らは小高い丘の上にテントを張り、遠くまで見渡せる場所で寛いだ。

夕食後、小梅は蓮華の膝の上で眠り、葉虎と蓮華は星空を見上げていた。

「戦争中は、星を見上げる余裕もなかったわね」蓮華はつぶやいた。

葉虎は頷いた。「毎日が生き残るための戦いだった」

「でも今は違う」蓮華は夫の手を握った。「平和な日々。これが私たちの探していた桃源郷なのかもしれないわ」

彼は村長から受け取った巻物を取り出し、もう一度読んだ。「心静かに流れる水を見れば、桃源郷は目の前に広がる」

「それはどういう意味だと思う?」蓮華は尋ねた。

「たぶん…」葉虎はゆっくりと言った。「私たちの心が平和になれば、どこにいても桃源郷になるということかもしれない」

彼らはしばらく黙って星を見つめていた。夜風が心地よく頬を撫でた。

翌朝、彼らは旅を続けた。平原を横切り、小さな村々を通過していった。各地で人々は彼らを温かく迎え、戦争の終結を祝う話をした。

ある村で、彼らは祭りの最中に到着した。村人たちは豊作を祝い、歌い踊っていた。彼らも祭りに招かれ、久しぶりに心から楽しい時間を過ごした。

「お父さん、踊って!」小梅は葉虎の手を引っ張った。

葉虎は照れくさそうに首を振ったが、蓮華のそっと背中を押す手を感じた。

「さあ、行きなさい」彼女は微笑んだ。「子供と踊るチャンスよ」

葉虎は輪の中に入り、小梅と共に村人たちの踊りに加わった。初めは硬かった体も、次第にリズムに合わせて動くようになり、彼は久しぶりに大声で笑った。


「すごい!こんなに大きいんだね!」

海岸には小さな漁村があり、彼らはそこで数日過ごすことにした。漁師たちは親切で、海の幸を分け与えてくれた。

ある日、葉虎は漁師の網が壊れているのを見て、修理を申し出た。彼の器用な手は、金属だけでなく、網の修復にも適していた。

「こんな技術を持っているなんて」漁師は感謝した。「うちの村に住まないか?鍛冶屋が必要なんだ」

葉虎は蓮華と目を合わせた。彼女は静かに頷いた。

「考えさせてください」葉虎は答えた。

その夜、彼らは海辺で話し合った。波の音が静かに響き、満月が海面を銀色に照らしていた。

「ここに住む?」小梅は期待に胸を膨らませた。「海があって素敵だよ!」

蓮華は微笑んだ。「確かに美しい場所ね。そして村の人たちも親切」

葉虎は海を見つめた。「ここで新しい始まりができるかもしれない。私は漁具や農具を作る。蓮華は医術を活かせる。小梅には良い学校もある」

「でも、桃園村は?」蓮華が尋ねた。

葉虎は少し考えた。「いつか戻ることもできる。でも今は…新しい場所で、新しい人生を始めたい」


彼らは村長に決断を伝えた。村長は喜び、すぐに村の集会で彼らを紹介した。村人たちは新しい住民の到来を歓迎し、空き家を提供してくれた。

家の修繕をしながら、葉虎は小さな作業場も設け始めた。使わなくなった漁具や古い金属を利用して、新しい道具を作り始めた。

ある日、彼が作業をしていると、小梅が走ってきた。

「お父さん、見て!」彼女は小さな貝殻を持っていた。「海から拾ったの」

葉虎は作業を中断し、娘の発見に耳を傾けた。小梅は海の生き物や村の子供たちとの遊びについて、生き生きと話した。

「楽しそうだね」葉虎は微笑んだ。

「うん!」小梅は頷いた。「ここ、好きだよ。でも…」

「でも?」

「桃園村のおじいちゃんたちも恋しいな」

葉虎は娘を抱きしめた。「大丈夫。いつか会いに行こう」

夕方、家族三人は海辺を歩いていた。夕日が海に沈み、美しい光景を作り出していた。

「ここが私たちの新しい家になるのね」蓮華はつぶやいた。

葉虎は頷いた。「ここで平和に暮らそう。そして…」

「そして?」

「ここを私たちの桃源郷にしよう」

彼らは海の波音を聞きながら、静かに佇んでいた。葉虎は村長からもらった巻物の言葉を思い出した。「心静かに流れる水を見れば、桃源郷は目の前に広がる」

目の前に広がる海を見つめながら、彼は初めて真の安らぎを感じた。桃源郷は特定の場所ではなく、心の平和と共にあるもの。自分の過去を受け入れ、未来に希望を持つこと。それが真の桃源郷だった。

漁村での生活が始まって三ヶ月が経った。葉虎の鍛冶屋は村の中心的な存在となり、漁師たちの道具修理から、家庭用品の製作まで幅広く対応していた。彼は武器を作らないと決めていたが、一つだけ例外を設けた。村の若者たちに防衛用の短剣を教えるためだった。

「これは人を傷つけるためではなく、身を守るためのもの」彼は若者たちに教えた。「そして最後の手段としてのみ使うものだ」

蓮華も村に溶け込み、兄から学んだ医術を活かして村の医療を助けていた。特に、薬草の知識は村人たちに重宝された。

小梅は村の学校に通い始め、すぐに多くの友達を作った。海の生き物や植物について学ぶのが大好きで、毎日新しい発見を両親に報告してくれた。

ある日、葉虎が作業場で働いていると、見慣れない男が訪ねてきた。

「あなたが葉虎さんですか?」男は丁寧に挨拶した。「私は隣村から来ました。あなたの評判を聞いて」

葉虎は手を拭き、男を迎えた。「何かお手伝いできることがありますか?」

男は農具を取り出した。「これを修理できますか?私たちの村には鍛冶屋がいないんです」

葉虎は農具を調べた。「簡単な修理です。明日までにできますよ」

それをきっかけに、周辺の村々からも依頼が来るようになった。葉虎の技術は評判を呼び、彼の作る道具は丈夫で使いやすいと人気を集めた。

ある夜、蓮華は葉虎に尋ねた。「満足している?この生活に」

葉虎はしばらく考えてから答えた。「ああ。戦争中は想像もできなかったほど穏やかな日々だ。人々の役に立っていると感じる。それに」彼は寝ている小梅を見つめた。「彼女が安全に育つ場所がある」

蓮華は微笑んだ。「私も同じよ。ここは私たちの桃源郷になりつつあるわ」

しかし平穏な日々の中でも、時々葉虎は過去の記憶に襲われることがあった。特に夜、戦場の夢を見ることがあり、汗だくで目を覚ますことも。

ある朝、彼は早くに起き、海岸へ向かった。日の出前の静けさの中、海を見つめていると、老人が近づいてきた。村の漁師の中でも最年長で、若い頃は遠洋漁業の船長だったという。

「早いですね、葉虎さん」老人は挨拶した。

「悪い夢を見てね」葉虎は正直に答えた。

老人は隣に座った。「戦争の?」

葉虎は驚いた。「どうして?」

「あなたの目を見れば分かる」老人は静かに言った。「私も若い頃、海での戦いを経験した。その記憶は消えない」

葉虎は安堵した。理解してくれる人がいることが嬉しかった。

「どうやって乗り越えたのですか?」

老人は海を指さした。「海を見ろ。常に動いているが、常にそこにある。過去も同じだ。流れていくが、消えはしない。ただ、それとともに生きる術を学ぶのだ」

葉虎はその言葉を胸に刻んだ。

時は流れ、彼らの村での生活も一年が過ぎた。春になり、桃の花が咲く季節がやってきた。小梅は九歳になり、さらに活発になっていた。

「お父さん、お母さん」ある日、小梅が真剣な顔で言った。「リン・ジュンとスーミンおばさんに会いに行きたい」

葉虎と蓮華は顔を見合わせた。確かに、約束していた再会の時期が来ていた。

「良い考えだね」葉虎は頷いた。「短い旅をしよう。桃園村にも立ち寄りたいし」

準備を整え、彼らは再び旅に出た。今度は前とは違い、帰る場所があることの安心感があった。

旅の道中、彼らは様々な変化に気づいた。戦争終結から一年以上が経ち、国は着実に回復していた。道路は整備され、新しい橋が架けられ、村々は活気を取り戻していた。

「平和の力は素晴らしいね」蓮華は感嘆した。

彼らはまず桃源の里を訪れ、スーミンとリン・ジュンと再会した。リン・ジュンは一年でずいぶん成長し、父の剣の扱い方を学んでいた。

「見て、小梅」彼は誇らしげに剣術の型を見せた。「防衛のための技だよ」

「すごい!」小梅は拍手した。「私にも教えて!」

スーミンは村での平和な生活を満喫していた。彼女は村の学校で教師となり、子供たちに歴史を教えていた。

「あなたたちの村での生活はどう?」彼女は尋ねた。


「とても良いわ」蓮華は答えた。「私たちにとっての桃源郷になりつつあるの」

彼らは数日をそこで過ごし、その後、桃園村へと向かった。村に着くと、多くの変化があることに気づいた。新しい家が建ち、より多くの人々が移り住んでいた。

「葉虎!戻ってきたか!」村長が彼らを見つけ、大声で叫んだ。

村人たちが集まり、彼らの帰還を祝った。葉虎の弟子だった若い鍛冶屋は、師の帰還に大喜びし、自分の成長を見せようと急いだ。

「見てください、葉虎さん。あなたから学んだ技術で、こんな刃物が作れるようになりました」

葉虎は若者の作品を見て、感心した。「素晴らしい。私よりも繊細な仕事だ」

村での滞在中、葉虎は旧友と語り合い、小梅は幼なじみと再会を喜んだ。蓮華も懐かしい場所を巡り、思い出を新たにした。

「村も変わったね」彼女は葉虎に言った。「でも、変わらない温かさがある」

出発の日、村人たちは再び彼らを見送った。

「また来るよ」葉虎は約束した。「今度はもっと早く」

帰路の途中、彼らは以前立ち寄った村々にも訪れた。リーの村では、老人が健在で、彼らの訪問を歓迎してくれた。

「旅の終わりは見つかったかい?」リーは尋ねた。

葉虎は微笑んだ。「終わりというより、新しい始まりです。桃源郷は特定の場所ではなく、心の平和と共にあることを学びました」

リーは満足そうに頷いた。「その通りだ。では、あなたは桃源郷を見つけたのだね」

葉虎は蓮華と小梅を見た。「はい、私たちの桃源郷を」

家路につく道中、彼らは多くの思い出について語り合った。旅の出発点から今までの冒険、出会った人々、見た景色。全てが彼らを成長させ、今の平和な生活へと導いてくれたものだった。

漁村に戻ると、村人たちが彼らの帰還を祝い、歓迎会を開いてくれた。葉虎は村長に感謝の言葉を述べた。

「ここに住まわせてくれて、ありがとうございます。私たちはこの村を真の家と呼べるようになりました」

村長は微笑んだ。「あなたたち一家は、村にとって大切な存在です。これからもよろしく」

その夜、彼らは家の縁側に座り、星空を見上げていた。小梅は少し離れた場所で、友達と月明かりの下で遊んでいた。

「不思議だね」葉虎はつぶやいた。「旅に出た時は、桃源郷という場所を探していた。でも見つけたのは、場所ではなく、生き方だった」

蓮華は夫の手を握った。「そして、私たちがどこにいても、家族と共にいれば、それが桃源郷になるということね」

「そうだ」葉虎は頷いた。「戦争は多くを奪ったが、平和の価値を教えてくれた。そして今、私たちはその平和を生きている」

彼らは穏やかな海の音を聞きながら、新たな人生への感謝を感じていた。北方の天覇帝国との戦争が終結してから始まった旅は、外側の世界だけでなく、心の内側の旅でもあった。そして今、彼らは自分たちの桃源郷を見つけたのだ。


季節は巡り、葉虎一家の漁村での生活も五年目を迎えた。小梅は十三歳になり、聡明で好奇心旺盛な少女に成長していた。彼女は村の学校で優秀な成績を収め、特に天文学と海洋生物に興味を持っていた。

葉虎の鍛冶屋は地域で最も信頼される場所となり、彼のもとには若い弟子たちも集まるようになった。彼は武器作りの技術を封印したままだったが、その技術を活かした精密な道具や芸術的な装飾品は高く評価されていた。

蓮華は村の医療の中心的存在となり、彼女の薬草の知識と優しい看護は多くの命を救っていた。彼女は時々小梅を連れて森へ行き、薬草の見分け方や使い方を教えていた。

「お母さん、この薬草で何が治せるの?」小梅は小さな紫の花を指さした。

「これはね、熱や頭痛に効くのよ」蓮華は説明した。「でも使いすぎると副作用があるから注意が必要」


小梅は真剣に頷き、メモをとった。彼女は母親の医術と父親の職人技、両方に興味を持っていた。

ある日、村に一人の旅人がやってきた。彼は北方の天覇帝国からの使者だと名乗った。

「私はこの地域の村々を訪れ、戦争で被害を受けた人々に、帝国からの謝罪と援助の申し出をしています」使者は村の集会で説明した。

村人たちは驚き、中には不信感を示す者もいた。しかし葉虎は一歩前に出た。

「あなたの申し出は誠実だと思います」彼は言った。「戦争は終わりました。今は協力して平和を築く時です」

使者は葉虎に感謝の意を示し、さらに個人的な話があると言った。

二人きりになると、使者は葉虎に小さな箱を渡した。「これはあなたのものです。元は天覇帝国の将軍が持っていたものですが、彼の遺言により、元の持ち主に返すよう命じられました」

箱を開けると、中には小さな青銅の鈴が入っていた。葉虎は息を呑んだ。それは彼が若い頃に作った最初の作品で、戦場で失ったと思っていたものだった。

「どうして…?」

「将軍はあなたの作品を高く評価していました」使者は説明した。「彼はいつか平和になったら、この鈴を返したいと言っていました。残念ながら彼は病で亡くなりましたが、その遺志を継いで私がここに来ました」

葉虎は感慨深く鈴を見つめた。「ありがとう。これは私にとって大切な思い出です」

使者の訪問は村に新たな風をもたらした。彼の持ってきた帝国の援助により、村はさらに発展することになった。新しい漁船が建造され、学校も拡張された。


その頃、スーミンとリン・ジュンからも手紙が届いた。リン・ジュンは十七歳になり、父の志を継いで平和維持のための訓練を受けていると書かれていた。また、彼らが暮らす桃源の里も発展し、多くの旅人が訪れる場所になっていることが伝えられていた。

「いつか、また一緒に旅をしましょう」スーミンは手紙の最後に書いていた。

葉虎は微笑んだ。「そうだね。今度は平和な時代の旅だ」

冬が過ぎ、再び春がやってきた。桜と桃の花が咲き誇る季節に、葉虎は小梅を連れて山に登った。彼らがかつて旅した道を少し辿り、高台から海と村を見下ろせる場所まで来た。

「お父さん、私たちの旅のこと、よく覚えてる?」小梅は尋ねた。

「もちろん」葉虎は頷いた。「あの旅が私たちを今ここに導いてくれた」

小梅は真剣な表情で言った。「私も大きくなったら旅に出たい。世界を見て、学びたい」

葉虎は少し驚いたが、すぐに娘の決意を理解した。「もちろんだ。あなたは自分の道を見つけるべきだ」

「でも、必ず戻ってくるよ」小梅は約束した。「ここは私たちの桃源郷だもの」

葉虎は娘を抱きしめた。彼女が成長し、独立心を持つことに誇りを感じた。


「お父さん」小梅はさらに尋ねた。「本当の桃源郷って見つかったの?」

葉虎は遠くを見つめた。「桃源郷は特定の場所ではないことを学んだよ。それは心の中にあるもの。平和と調和を見つけた場所が、それぞれの桃源郷なんだ」

小梅は考え込んだ。「じゃあ、私も自分の桃源郷を見つける旅に出るの?」

「そうかもしれないね」葉虎は微笑んだ。「でも覚えておいて。どこに行っても、いつでも戻れる場所があることを」

彼らが家に戻ると、蓮華が庭で花を植えていた。彼女は二人を見て手を振った。

その夜、三人は縁側に座り、満月の下で過ごした。遠くからは波の音が聞こえ、村からは祭りの準備をする人々の声が届いた。

「幸せだね」蓮華はつぶやいた。

葉虎は頷いた。「ああ。こんな平和な日々が続くことを願う」







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最後の砦 すぎやま よういち @sugi7862147

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