「いいこと」と「幸せ」の定義は難しい

終盤数行で、死神のせんとしたこと、の本質的意味が、がらりと、深く変わる。

寿命六日で亡くなる人間が、寿命を三日に半減して、なんでも望みが叶う。

というのは、果たしてその者にとって、幸せなのかどうか。

確かに、同じ寿命半減でも、数十年が半減するのと、数日が半減するのとでは、客側からすれば、一見「お得」に思える。

が、仮に契約した場合、ひょっとすると、死後の世界で、「一分一秒でも生きたかった」とクレームを入れる可能性だって、ゼロではない(死んではいるが)。

亡くなる前に大きな思い出を残すよりも、なんの変哲もない日常がほんの少しでも続く方が、望ましい者だっているだろう。

そういう意味で、死神のしようとしたことが、真に「いいことをする」ことになるのかどうかは、評価が難しいところだ。

その他のおすすめレビュー

加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】さんの他のおすすめレビュー538