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押しかけセールスも甚だしい死神と男性の話。何やら営業不振な死神は「願いを叶える代わりに寿命の半分を」と彼いわく死神界隈では破格の条件を提示して来た。男は無事にこのどこか憎めないセールスマンを追い返すことが出来るのか。そして結末は如何に……!?
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黒い服に大きな鎌、見た目は立派な死神なのに、中身はどこか抜けててちょっと必死。そんな死神が「営業」に来るなんて、最初は笑ってしまうけれど、読み進めるうちにだんだんと胸があたたかくなってきます。寿命を差し出すなんて物騒な話のはずなのに、どこか優しくて、じんわり心にしみるんです。 慌ただしい日々の中で、「自分にとっての幸せってなんだろう」とふと立ち止まりたくなる、そんな優しい物語でした。
寿命の半分と聞いて、今の時代なら差し出す人も多いのでは無いだろうか? 先の見えない時代、長生きしてもしょうがないというのは誰しも共感するところがあるだろう。 息子の居る主人公の男は断ったが、先のことを考えれば半分渡して願いを叶えてもらった方が良いように思えた。人生一寸先は闇と考えれば、目先の幸福に飛びつくのも悪くは無い。 やり取りを聞いていると落語みたいでテンポ感が良かった。読んでいて楽しい作品である。
黒装束に大きな鎌を持つステレオタイプ風の死神少女が、とある人間の男性宅を訪ねるお話。「寿命の半分と引き換えにどんな願いも叶えます!」 殺し文句とも言える死神フレーズ。目的は営業なのだが、はっきり言おう。彼女は営業に向いていない。仕事を知らないのか、バカ正直で優しすぎるのか。軽妙な掛け合いにまで発展してしまうシュールな現場。 営業がそれ言っちゃいます?!トンデモ発言の数々はもはやコメディー。死神目線のブラックなオチもついてくる、楽しいショートショートです。
死神モノって難しいと思います。人を殺すしか能がないダメキャラなので、ある程度は展開のパターンが決まっている。 それを、あえてコミカルなトーンで、オチまで読ませる技巧の妙。 なんせ最後の一文が深いですから、この構成は最適でしょうね。ぐっとくる傑作です。
人の願いを叶えるという死神のお話。何ともダメダメな感じの死神につい笑ってしまいますが、最後まで読むと…?