悪魔の始まり

その夜、健太は夢の中で翔太の姿を見た。翔太は泣きながら「助けて」と叫び、周りには暗い影が迫っていた。目が覚めた時、心臓がドキドキしていた。翌日、また新たなLINEが届いていた。今度は動画だった。


「これは翔太の最後の瞬間だよ。」と書かれたメッセージとともに、動画が再生され始めた。そこには、事故の瞬間が映っていた。健太は恐怖で目を背けたが、画面には翔太の顔が映し出されていた。その顔もまた、どこか不気味だった。


美咲はその話を聞き、彼女もまた、別の友達から同様のメッセージを受け取っていたことが分かった。直樹もまた、夢の中で翔太の声を聞いたと言った。彼らは恐れを抱きながらも、互いに励まし合い、真相を探ろうと決意した。


その翌日、直樹は学校に来なかった。健太と美咲は心配になり、彼の家を訪ねることにした。すると、直樹の母親が出てきて、彼が発熱して寝込んでいると告げた。だが、健太は直樹の様子がいつもと違うと感じた。


数日後、直樹が学校に戻ってきたが、彼の目には何か異様な輝きがあった。彼は「翔太が来た」と言い、周りの友達を不安にさせた。そんな中、また新たなLINEが届く。今度は「次はお前らだ」という恐ろしいメッセージだった。


健太と美咲は、もう逃げられないと感じた。彼らはこの恐怖の根源を探るため、翔太の事故が起きた場所に向かうことにした。そこには、彼らが知らなかった真実が隠されているかもしれないと思ったからだ。


現場に着くと、何もない夜の静けさが二人を包んだ。突然、スマホが鳴った。健太が画面を見つめると、また翔太の写真が送られてきた。だが、今度は彼の目がこちらを見つめていた。恐怖で動けなくなる二人。すると、美咲のスマホも鳴り、彼女の画面には「次はあなたの番だ」というメッセージが。


その瞬間、健太の周りに暗い影が現れ、彼は声を上げた。「美咲、逃げよう!」と叫ぶが、彼女は動かない。彼女はまるで夢の中にいるかのように、その場に立ち尽くしていた。健太は彼女の手を引こうとするが、手は空を掴むだけだった。


影は近づき、二人の視界が歪んでいく。最後に健太が見たのは、美咲の恐怖に満ちた顔だった。そして、彼の意識は闇に飲み込まれた。


翌朝、学校では二人の姿が見当たらなかった。友達は不安を抱え、LINEを送り続ける。しかし、メッセージは返ってこない。健太と美咲のスマホには、今もなお、不気味な写真や動画が保存されていた。


その後、学校では彼らの名前が語り草となり、噂が広がった。しかし、誰も彼らがどこに行ったのかを知ることはなかった。LINEの先に待っていたのは、終わりのない恐怖だったのかもしれない。

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