昼休みシリーズ 第二話「昼休み、何食べる?」
午前の研修を終えた翔は、肩を回しながら時計を見た。
――やれやれ、今日も濃かったな。
新しく配られた資料の山に目を白黒させながら、ようやく訪れた昼休み。
田辺がデスクを片付けながら声をかけてきた。
「翔、お昼どうする? 今日は社食でもいいけど、ちょっと外行かない?」
社食のカレーも悪くないけれど、たまには外の空気も吸いたい。
翔は軽くうなずいた。
「いいね。たまには外もありだな」
会社のすぐ裏手には、小さな定食屋やカフェが並んでいる。
歩きながら、二人は自然と今日の午前の話題に。
「それにしても、今日の研修、グループディスカッション難しかったなぁ」
「なあ。リーダーシップって言われても、正直まだピンとこないよ」
言いながら、翔はふと思い出した。
最近話題になっているビジネス書、『1分で話せ』。同期の誰かが読んでいたはずだ。
「そういえば、あの本知ってる? 『1分で話せ』ってやつ」
田辺が「あー、あれな」と頷く。
「この前、田島先輩がちらっと言ってたよ。“話は短く、わかりやすく”って。プレゼンの極意だって」
翔は笑った。
「1分で話すって、簡単そうで、めちゃくちゃ難しいよな。俺、三分でも無理かもしれん」
二人で笑いながら、ふと立ち止まる。
目の前に、ちょうどよさそうな定食屋を見つけた。
「ここ、どう?」
「いいね。腹減ったし、がっつり行こう!」
昼休みは、束の間のオアシス。
仕事のことも、夢のことも、ちょっとだけ忘れて、今日のランチを楽しもう。
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