14現実
僕たちは彼を埋めた。
それ以外に方法はなかった。
葬式もできなかった。王国に入れることもできなかった。もしもナルディアがやったことがバレたら、どうなるのかも分からない。
ただ、ここで何もしなければ、もっと状況が悪化してしまうことだけは確かだった。
勇者は手を動かす度に、重くて冷たい土の感触が心に響くようだった。盗賊も黙って隣で手を差し伸べていたが、その表情は固く、顔に浮かぶ痛みを隠しきれなかった。
土をかけるたび、心に重い何かが積み重なっていく。手が震えていた。埋めるという行為がこんなにも重く、心に突き刺さるものだとは思わなかった。
「こんなこと、しなきゃよかった…」と、勇者が小さく呟く。その声も震えていた。
盗賊は何も言わず、ただ土をかけ続けていたが、目を伏せていた。その目には、言葉にできない何かが深く刻まれているようだった。
それでも、止めるわけにはいかなかった。
他に選択肢はない。
それが現実だった。
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