■ Weekend: What She Couldn't Say

***



 幸せだった。


 好きな人の部屋に行って。

 好きな人に料理を作って。

 好きな人と食事して。



 ……途中、元カノさんの話になってしまったのは、ちょっと迂闊だったけど。



 でも。




  カノさんだった。




 それがハッキリわかって、

 すごくほっとした。


 じゃなかったから。

 それなら私にも、チャンスがるあから。




(……活かせるの?チャンスなんて。)




 ……。




(あきらめられるの……?)




 頭の片隅でかすかに聞こえた、そんな声。


 うるさい。

 黙ってて。

 

 湧き上がりそうになる感情を、

 強引に抑えつける。





 それは今、考えたくないことだから。




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