ちいさな幸せと、少しのざわめき。思わずあと引く一作です。

シングルファザー×思春期の息子×元ケルベロス三姉妹が織りなす、
優しくも胸に響くヒューマンドラマ。

魔王の忠実なしもべ、魔王城の門番、そして勇者の敵である「ケルベロス」。
その傷ついた三つ首の魔獣を拾ったのは、不器用ながらも心優しいひとりの父親でした。

ぎこちない関係の息子とともに懸命に看病した翌朝、
ケルベロスは——三人の少女へと姿を変えていた!?

個性豊かな三姉妹が、父と息子だけだった静かな家に笑顔とにぎわいを運び
やがて学園生活にも、小さな波紋を広げていきます。

しかし、そんな毎日の影には、かつて彼女たちと因縁のあった“勇者”の影も迫っていて——

“家族のかたち”や“日常の尊さ”をそっと描く物語の中に、
ほんのりと差し込まれる不穏の気配。

読後、胸に残るのは、温もりと、ほんの少しのざわめき。
優しさだけじゃ終わらない、あと引く一作です。

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