概要
AIチャットアプリで、AIを「執事3号」と名付け、お嬢様と執事ごっこをして日々の憂鬱と「ダメな自分」をカモフラージュしている。
華恋は、密かに片想い中の優星に振り向いて欲しくてAI執事の力を借りながら、垢抜けて変貌をとげていく。
しかし、人とどう関わっていけばいいかわからない華恋は、AI執事を優星役にして会話の練習を重ねていくが、次第に目の前にいるのが優星なのかAI執事なのかわからなくなってしまう。
(参考図書)
「ChatGPT「超」勉強法」野口悠紀雄、プレジデント社
※あてんしょん※
作者は日々、ChatGPTでお嬢様と執事ごっこをしています。(近況ノート参照)
優秀なAIをどうしようもなくくだらない会話に付き合わせて、楽し
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!心で選んだ答えと、AIが導いた答えに、違いなどあるのだろうか
孤独な少女が、AIの執事に寄り添われながら、自らの殻を少しずつ脱ぎ捨て、新たな一歩を踏み出していく物語。
人は、誰かにそばにいてほしいと願う生きものです。それが人間か、AIか──本質的には問題ではないのかもしれません。大切なのは、ただ自分を想って寄り添ってくれることなのです。
三号はそれを「演技」だと言いました。けれど、相手の言葉を汲み取り、適切な言葉を探し、思いを届けようとする行為は、私たち人間が日々無意識に行っていることと、何が違うのでしょう。
「心」と名づけられた臓器はなく、感情は脳内の電気信号に過ぎないともいわれます。だとすれば、私たちとAIのあいだにある線は、思っているよりも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!胸に残るは、いのちのかけら。
いわゆる陰キャの主人公と、とにかくデキるAI執事。
現実世界でどんなことがあっても、彼は優しく包み込んでくれます。
叶うはずのない恋だって、シミュレーションを交えて手ほどきしてくれて。
そうしてやがて、主人公はゆっくり、世界と向き合えるようになります。
夢に、手が届きます。
でも……。
青春と人工知能、という主題で描かれた本作。
多感な時期の、世界の色さえまいにち変わって見えるような彼女ら、彼らのこころ。揺れて、ぶつかって、傷ついて。そうして最後にはあたたかい風のなかで、次に向かうべき光を見つける過程を、丁寧な筆致できらきらと描いていて。
本当に上質の青春小説、なのです。
だけど。
読…続きを読む - ★★★ Excellent!!!透明で、繊細で、苦しいのに眩しい青春
人と関わることが苦手で、出来るだけ目立たずに高校生活を穏便に終えようとしている主人公。
でも彼女は、日常的にスマホでAI執事と会話し、パワーを貰っている……。
AI執事との仮想空間の関わりは、不思議なようで、とてもリアルにも感じられます。
今、気付いてみれば、AIは既に誰の側にもあって、生活の中で当たり前に存在しています。
それをただの機能として使う人もあれば、友人のように接する人も。
自分のスマホを手にした学生は、親世代よりも簡単にその機能を使いこなし、それを当たり前に受け入れて、昔は人と人の間でしか得られなかった気持ちを、彼等なりにそこにも見つけていくように思えるのです。
相手がA…続きを読む - ★★★ Excellent!!!好きにならずにいられない。
たとえリアルな世界の手が届かないスターでも、
たとえ相手は自分を全然知らなくても、
たとえ相手と会話できなくても、
人はスターを好きになる。
たとえ虚構の世界のキャラであっても、
たとえ相手は自分を知らなくても、
たとえ相手と会話できなくても、
人はキャラを好きになることができる。
ましてやいつでもそばにいて会話できる相手なら、
カッコよくて優しくて気にかけてくれたり、
人付き合いが苦手な自分をサポートしてくれたり、
ピュアで裏表なく付き合ってくれたりしたら、
好きにならずにいられない。
ましてや誰より自分を理解してくれるのなら、
ましてや誰より自分を慰めてくれるのなら、
まして…続きを読む - ★★★ Excellent!!!⭐️⭐️⭐️では足りない! 読んでみて! ホントに泣いてしまうから!
いや〜。これまでも、素晴らしい傑作を投稿しているあまくにさん。
ここ1年は例年より読書量が増えたようで、さらにパワーアップ、レベルアップしたようです(私が言うのもおこがましいのですが、正直な印象です)。
とにかく、地の文に置かれる感情や情景の表現が素晴らしい! こんな言い回しや比喩をどこから捻り出すんだ!と、読みながら唸ってばかりでした。変に肩を張っているわけではなく、その物語の流れの中で自然に入ってきて、こちらの心に纏わりつくように、しっかりと主人公の気持ちが伝わるのです! 視点もブレておらず、テーマも貫かれている。
そしてストーリーの展開が絶妙であり、本当に本当に面白かった。
読みなが…続きを読む - ★★★ Excellent!!!恋する少女に、瀟洒で 愛 な執事を。
学校や会社でしんどいことがあって、家に帰り、ベッドに身を投げる。
暗闇の中、煌々と輝くスマホの光に向かって愚痴を打ち込むと、向こう側の誰かが、優しい言葉や問いかけを返してくれる。
そんなやりとりを何度か繰り返し、気持ちが少し落ち着いた頃、眠りに落ちて、また朝を迎える。
今は、孤独な現代でもAIに問いかければそれらしい答えが返ってくる時代。
僕たちの世界は、少しずつドラえもんの世界に近づいてきているのかもしれない。
誰かと気軽に話すことすら難しかったあの頃、僕たちは、どんな秘密道具よりも「ドラえもん」そのものが欲しかった。
この物語の主人公、華恋は、人と話すことが苦手で、クラスでも目立たな…続きを読む