第10話不審者
ソトナカ「映画何時からだっけ?」
タニヤマ「15時から。1時間くらいあるしカフェとかよる?」
ソ「カフェなら3階にあるな。エスカレーターで行くか。」
タ「オッケー。」
ソ「エスカレーターで上に行くときにさ。隣の下りの人と目が合うと気まずくない?」
タ「まあ分かる。」
ソ「まあまず見なけりゃいい話なんやけど。」
タ「それな。」
知らないおじさん「ごらぁぁっ!!!」
タ・ソ「⁉」
おじ「なに上あがっとんならぁ!お前らがぁ!社会もしらんとぉ!」
タ・ソ「えぇ…。」
おじ「おまぁらみたいなんが日本をぉ!!キエェェェェェェェェェェェ!!」
———
タ「...いやぁ~。こっっわ。」
ソ「まだ、進行方向が逆で良かったな。一緒に上にあがってたら終わりだったわ。」
タ「それな。春になると変なやつが増えるな。」
ソ「まあ一定数出てくるわな。」
タ「マジで、あーいう人らは国が隔離してほしいわ。怖すぎる。」
ソ「俺はああいう人ら見てると、明日は我が身って感じがするわ。」
タ「どういうこと?」
ソ「なんていうか、意味もなく人に怒鳴ってるわけじゃなくて、何かしら限界がきてああなってしまったって思うねん。」
タ「ほう。」
ソ「ブラック企業で働きづめになったとか、大事な人が急に事故に遭ってしまったとか。そういう、ストレスの限界点を超える出来事があったから暴れてしまうだけで、実際は普通の人なんかもしれんし。」
タ「なるほどなぁ。」
ソ「そう思うと、自分も将来もしかしたらブラック企業に騙されるかもしれんし、結婚して子供ができたのに、その子供が事故に遭ってしまうかもしれんし。壊れてしまうきっかけは無数にあるから、明日は我が身って感じするわ。」
タ「いやーでもな~。それと人に迷惑かけるのは違う気がするわ~。だって俺らは何もしてないのに怒鳴られたわけだし。」
ソ「まあ確かにな。」
タ「なんていうか、その話を聞いても、俺はストレス耐性が低いなって感じてしまうわ。何というか、発散方法がおかしいし。」
ソ「そうかもしれんけど、でもそれはお前が比較的恵まれた境遇にいるからであって…。」
タ「いやいや、ほとんどの人は嫌なことあっても、グッと耐えてるわけやん。どんだけ辛いことがあっても、そのストレスを他人に向けるのはあかんわ。」
ソ「まあそれはそうだけど。」
タ「それにさぁ…あ。」
ソ「どした?」
タ「映画13時からだった。」
ソ「は?えぇ…もう上映終わってんじゃん。」
タ「...。」
ソ「しかもチケット前払いだからお金払わなあかんし。」
タ「...。」
ソ「俺確認したじゃん。なんでこんな凡ミスするん?」
タ「…。」
ソ「てか、お前がミスったんだからお前が払えよ?」
タ「…キエェェェェェェェェェェェ!!」
ソ「うわっ、壊れた!ストレス耐性低すぎやろっ!」
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