第26話 ライバル襲来!?爆裂魔法 VS 爆裂魔法

「――名乗るがいいです。あなたのその魔力、ただ者ではありませんね!」


草原の丘に立つめぐみんの声が、いつもより少しだけ鋭く響いた。


目の前には、黒いローブを身にまとった少女。彼女の赤い瞳と杖、そしてその背中には――爆裂魔法使いの証、巨大な魔力を帯びた魔杖が。


「ほう……貴女が“紅魔族”の天才と謳われる、めぐみんですね」


「それを知っているなら、話は早いですね。あなた、何者なんですか?」


「私の名は“クリムゾン・スパーク”。かつて爆裂魔法を極めんとした者……そして、真の“爆裂魔法の使い手”を決めるため、この地に来ました!」


「……爆裂魔法の、使い手?」


カズマは少し呆れたようにため息をついた。


「なあ、めぐみん。また変なのに絡まれてないか?」


「カズマ、真剣です。これは――爆裂魔法を愛する者として、避けて通れない戦いです!」


めぐみんの目が燃える。

そしてカズマは、心の中で悟った。


(……あー、これ絶対止めても無駄なやつだ)


しばらくして、丘の上。


「では、いきますよ!」


「いつでもどうぞ、めぐみんさん!」


二人の爆裂魔法使いが、同時に杖を天にかざす。


「エクス――プロージョン!!」


轟音が空を裂いた。


空に大きく開いた炎の華が、もう一つの爆裂と交わって、美しい――いや、むしろ無駄に派手な景色を作り出していた。


「……ふふっ、あなた、なかなかやりますね」


「そちらこそ。ここまで撃ちごたえのある相手は久しぶりですよ」


倒れ込みながら、ふたりは満足そうに笑い合う。


その姿を見ながら、カズマはしみじみ思った。


「……爆裂魔法使いって、本当に厄介な連中だな」


夕暮れの帰り道。


「今日は満足です。こんなに熱くなったのは久しぶりでした!」


「……いや、ほんとお疲れさん。でも、めぐみん」


「はい?」


「ちょっとだけ心配したぞ。お前、爆裂魔法使いの勝負とか言って、張り合いすぎるからさ」


「……ふふ、でもカズマが見てる前で負けるわけにはいかないですよ」


「……なんだよ、またそんなこと言って」


「冗談じゃないですよ。……だって、あなたにだけは、強いところを見てほしいんですから」


カズマは黙って歩きながら、めぐみんの横顔を見つめた。


ほんの少し、頬が赤くなっている。


「……帰るか」


「はいっ、帰りましょう!」


ふたりの背中に、今日もやさしい風が吹いた。

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