第13話 決意の先に見える未来
その日の午後、カズマは宿屋の前でぼーっと座っていると、ふと目の前にめぐみんが現れた。
「カズマカズマ!」
めぐみんの元気な声が、カズマの耳に響く。いつものように駆け寄ってきためぐみんの姿を見て、思わず笑顔になる。
「おう、めぐみん。どうした?」
「ちょっと、お願いがあって来たんです」
カズマは首をかしげながらも、めぐみんの話に耳を傾けた。
「お願い? なんだ、俺にできることか?」
「実は……今度、私たちが出る冒険で、ちょっとした勝負をしたいと思って。カズマも一緒に、その、協力してくれると嬉しいんですけど」
カズマはめぐみんの言葉を聞いて、少し驚いた。
「勝負? それってどういう……」
「カズマのことだから、もしかして得意じゃないかと思って。私がやりたいこと、少し挑戦してみたくて」
めぐみんが少し照れながら言うその表情に、カズマは心の中で「ああ、なるほどな」と思う。
「なるほど、何かチャレンジしたいってわけか。でも、ちょっと待てよ、めぐみんが挑戦することって、何だ?」
「実は……魔法の練習です! カズマに見守ってほしいんです!」
「魔法の練習?」
めぐみんは頷くと、少し照れくさそうに手を組んで言った。
「でも、ただの練習じゃないんです! 私は、カズマと一緒に挑戦することで、もっと成長したいんです。だから、ちょっとした試練として、勝負したいんです!」
カズマはその言葉に驚き、そして少しだけ笑った。
「試練か。まあ、めぐみんがやりたいことなら、付き合ってやるよ。でも、どんな勝負をするつもりだ?」
めぐみんはその瞬間、どこか決意に満ちた顔を見せて、少しだけ真剣に言った。
「カズマ、私、これからは少しでもあなたに頼らずに、強くなりたいんです。だから、私の全力で魔法を使って、カズマに挑戦します! 私の一番強いエクスプロージョンを、受けてみてください!」
カズマはその決意を感じて、ちょっとだけ驚きの表情を浮かべる。
「お前、本気か? エクスプロージョンの練習で俺に挑むなんて……」
「もちろん、本気です! 私はカズマに頼りすぎないようにしたい。でも、どうしてもカズマに頼りたくなる自分がいて、それが今、すごく不安なんです」
カズマは少し黙って考えた。
そして、やがてゆっくりと言った。
「わかった。お前が本気なら、俺も本気で受けてやるよ。でも、エクスプロージョンを受けるのはちょっと怖いから、気をつけろよ?」
めぐみんはその言葉を聞いて、にっこりと笑った。
「大丈夫です! カズマにはちゃんと避けてもらいますから!」
そして、二人はその日、宿屋の近くでエクスプロージョンの練習をすることになった。
カズマは自分の覚悟を決め、全力で受けて立つ覚悟を固めた。
めぐみんは少しずつ魔法を使う準備を整え、カズマに向かって叫ぶ。
「いきます! エクスプロージョン、発動します!」
その瞬間、めぐみんの魔力が爆発し、強烈な魔法の波動がカズマを襲う。
カズマはその圧倒的な力に少しだけ後退しながらも、冷静に避けながら対応する。
そして、ふたりはその日の練習を終え、夜になった。
「どうだった、カズマ?」
めぐみんは疲れた様子で、でも少し誇らしげに言った。
「いい練習になったと思う。次はもっと上手く避けられるようになったな」
「でも、カズマはちょっとギリギリでしたね。もっと頑張ってくださいよ!」
カズマは少しだけ照れくさそうに言う。
「うるさいな、お前ももう少し魔法をコントロールしろよ」
めぐみんは笑いながら頷く。
「はい、もっと頑張ります!」
その時、二人の間に言葉には表せない温かさが流れた。
互いに成長し、強くなろうとするその気持ちが、確かに交わり始めているのを感じた。
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