第4話 帰宅
俺の頼みを聞いた時、弟は固まっていたが、少し時間が経てば理解し始めたのか、
「……む、無理だよ。僕、森にはまだ数えるくらいしか来たことないし、暗いし」
「大丈夫だ。もしもの時にはサンがお前を
「そんな事、絶対にない! だって僕が村に、あんな近くまで行かなきゃこんなことには……」
どんどん尻すぼみになっていく弟の声は今にも泣きそうで、何とかしてやりたいが、このままでは本当に二人とも捕まってしまう。それだけは避けなくては……。
ふと、昼間の事を思い出す。龍長様に
「……やられた~。これは俺の落ち度だ」
「え? 何が……」
額に手を押し当て今更後悔しても遅い。無事に戻ったら、言いたい事はたくさんあるが、果たして
「……身体能力の一時的な低下。なるほど、確かに龍神の力なら可能だろうな」
「えーと……?」
「……ごめんな」
一言、聞こえるか聞こえないかの声で
「わぁっ」
突き飛ばされた体はサンがしっかりと受け止めてくれたことを見届け、すぐに
後ろで必死に俺を呼ぶ声が聞こえるが、振り切るようにしてがむしゃらに走っていれば、予想した通り
「はっ、なるほどな。感知能力が人間並みか。こいつはいいハンデだ」
久しぶりの
周りにいるのは、村の人間などではなく、古くから里と
全員手には銃やら弓矢を持ち、こちらを
「……ははっ、お前らと龍長様も、俺の事を
怒りで
俺の目前には敵しかいない。俺の
今夜は満月、そしてここは俺の庭だ。俺の
「消えなザコども、
俺の周りで
近くにサンは居ないが、それがどうした? 相棒の龍が居なければ何もできないようじゃ、俺の望みは永遠に
「……これが俺の得意技、
言葉と同時に、両手にバチバチと激しく
逃げる事は許さない。打ち消すこともできない。防ぐ
我先にと逃げ
「ははっ、久しぶりに、使うと……あー、ダメだ。体力が……」
静まり返った場所に座り込んで周りを見渡せば、誰一人居ない。どうやら能力が低下した為に、命中率も下がってしまったようだ。
「あー、くそ。一人でも捕まえておけば、いい証人になったのにな~」
「参ったな~、かっこわりぃ~……」
結局は力尽きてそのまま倒れ込んでしまった。
(あー、何も聞こえねぇ。こんな不安だらけな世界で、弟……ラズリはずっと、生きてきたのか。大した奴だよ)
意識が沈む
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