ニンゲンイガイヲシャダンシタール

鈴鳴さくら

ニンゲンイガイヲシャダンシタール




わたしはよく考えてみる。


人間の能力って誰かの悪意により意図的に抑え込まれてるんじゃないか…って。





なぜわたしたち人間は、動物や植物や水や光や火や風や匂いや…人間以外の崇高な存在と意思疎通がハッキリ出来ないのだろうか。




彼らとお話しできたら、きっともっと世界は今よりずうっと彼らを尊重する。




そしたら世界はきよくたのしくうつくしくすばらしいものになるだろう。

お互いを尊重しあえるやさしさと愛が循環するだろう。






わたしたち人間が彼らを尊重すると、木の伐採とか、海や川の汚染とか、動物のお肉を食べたりetc…他にも小難しいこといっぱい出来なくなって都合が悪いから、彼らとの意思疎通を遮断する物質を生み出した悪の組織・ningenkososigoku-人間こそ至極-とか図々しが存在するかもしれない。




実はわたしたち人間は彼らとコミュニケーションが取れる能力が備わっている。





わたしたちが日常的に身体に取り込む調味料の中に、悪の組織がうみだしたニンゲンイガイヲシャダンシタールという厄介な成分が含まれているのだ。わたしたちは知らず知らず口にして、どんどんニンゲンイガイヲシャダンシタールが体や脳みそに蓄積されてゆき、動物や植物や水や光や火や風や匂いや…彼らの声が聞こえなくなっちゃうんだ。






うっうっ悲しい…わたしはそう思いつつ、知らないフリをしてコーヒーにシナモンシュガーをふりかける。




きっとこのインスタントコーヒーとシナモンシュガーにもニンゲンイガイヲシャダンシタールがどっぷり含まれているのに、わたしはそれにしけた面して口をつける。






なぜならそんなこと言ったってどうせ人間のわたしに調味料を一切口にしない人生はあり得ないのだ。


人間のわたしが人間の世界で生き延びる為にニンゲンイガイシャダンシタールの摂取は必要だ。それに…ニンゲンイガイシャダンシタールはとてもとってもおいしくてたまらないのだ。



仮にわたしの暮らしからニンゲンイガイシャダンシタールを廃絶しても、生きてゆく為にお箸でお肉を食べるし、わたし一人分の汚れは生涯彼らの元へと流れ出るのだ。





だからわたしは今日も当たり前の顔して、スーパーでずらーと並んだ鶏肉を吟味し選んだむね肉をまな板の上で切り刻み


冷蔵庫の長ネギをひっつかみ切り刻み


それらを中火で熱したあつあつのフライパンの上に撒いて焼きたくり


ニンゲンイガイヲシャダンシタールの香りがむわっとただよう焼き鳥専用のタレ(とてもうまい)を加えてぐつぐつ照りが出るまで追い焼いた、わたしは薄情者なのでこの過程で鼻歌もうたってご機嫌だった。



これは焼き鳥ではない。

ニンゲンイガイシャダンシタール〜焼き鳥を添えたもの〜という名前の料理だ。パクパク口に放り込み食道を通り胃に落下するニンゲンイガイシャダンシタールを腸は喜んでニン吸収して全身に回す。そして脳みそが言うのだ、「またニンゲンイガイシャダンシタールを食べたいよおう」と。涎がじゅわっと噴き出してきた。




というか悪の組織・ningenkososigoku-人間こそ至極-も調味料のニンゲンイガイヲシャダンシタールも存在しないし、全部わたしの激しい妄想なのだ。



それに人間以外に崇高な存在なんていない!人間ほど賢い生物はいないので、動物や消え物と人間が意思疎通する世界とか二次元に毒されてる、アニメより現実をみるべきだ(笑)





…きっとそうだ、諦めてそう考えた方がものすごく楽だし安全安心だ。


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ニンゲンイガイヲシャダンシタール 鈴鳴さくら @sakura3dayo

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