人生の正解とは

第1話

　うまく生きるってなんだろう。

　人生の正解ってなんだろう。

　自分がいま就いている職業、一緒にいる人、生き方、この選択は正しいのだろうか。ずっと頭の中でぐるぐるしている。

　同い年の野球選手が、メジャーに行き、生き生きと活躍している。

　自分より年下の女優さんが誰もが釘付けになるドラマの主役をやっている。

　自分より5歳しか上ではない人が、ものすごい研究をして、何とかっていうすごい賞をとったらしい。

　自分は？自分はどうなんだろう。

　中学２年生のときからなりたかった教師。つまり10年以上夢見てきた仕事をわずか１年半で辞めた。大学時代に出会った愛する人を結婚相手としてこの人でいいのかと自信がなくなり手放した。その結果、わたしには何も残らなかった。生き生きと働ける場所も、無条件にただただ愛してくれる人も。

　そして、私はいま、事務で働いている。当たり障りのない毎日。ただ同じことを繰り返す日々。何をするかわからないいきものを相手にし、発見とわくわくする気持ちが尽きない毎日から、ただパソコンという機械と睨めっこをし、いらいらしたり、びっくりしたりすることもなく、それと同時にわくわくすることも全くない日々に変わった。でも、これも自分でした選択だ。

　だけど、そうだけど、何かがずっと引っかかっている。

　これでいいのかな。これがよかったのかな。これが私が求めていた生き方だったのか。

　ミスチルが、「僕のした単純作業がこの世界を回り回って、まだ出会ったこともない人の笑い声を作ってゆく」と歌っているのを聴いたとき、なんて素敵な歌詞なんだろうと思った。こんな風に考えて仕事をする大人でありたいと思っていた。前までは。

　でも今は、自分にこれでいいんだと言い聞かせるためにこの曲を聴くようになった。世の中のほとんどの人は、おいしいものを食べるために、景色がきれいな場所に旅をするために、それが一人でも、愛する人とでも。そのために淡々と仕事をして、お金を稼ぐために働く。自分もそのうちの一人になろうと思った。なれると思った。でも、なんでだろう。これでいいのかな。