秘密で繋がる、微妙な友情(2)
「なあ美羽、ちょっと耳貸せ」
何その入り。
即答した。
「絶対イヤ」
案の定、むくれてる。
「まだ何も言ってねえじゃん!」
「どうせまた、くだらないことだってわかってるから」
「俺だってたまには、まじめな話するっつーの」
「へえ、たとえば?」
腕組みして見上げると、
蓮はなぜかドヤ顔を作ってる。
「……俺、実は秘密抱えてんだよ」
「うさんくさっ」
「マジだって! しかも結構、深刻なやつ!」
「それ、学校でサボテン枯らしたとかじゃないでしょうね」
「もっとヤバい。国家機密レベル」
「そんなの、あんたが持ってたらこの国終わるよ」
はい論破。
それでも蓮はめげない。
「じゃあ、もし俺が実は――アイドルだったらどうする?」
「売れてないアイドル?」
「おい」
「売れてるアイドルが、こんなジャージでチャリ通学しないって」
「変装だよ、変装。ばれたらまずいからな」
「ふーん、がんばってね、売れてないアイドル」
ちゃんとがんばれよ、売れてないアイドル。
「なあ美羽、お前にもなんか秘密、あんの?」
「さあね。どうだろ」
秘密ねえ。
……まあ、言わないけど。
「絶対なんかあるだろ。たとえば……実はジャージの下、プリン柄のパジャマとか」
「そんなスイーツ全開なわけないでしょ」
「じゃあ、こっそり変な特技持ってるとか」
「変な特技って、どんな偏見」
「たとえば、鼻から牛乳飛ばせるとか」
「小学生か」
くだらなすぎて、思わずツッコんじゃった。
こういうところ、ずるい。
「ま、いいけどな。美羽の秘密は、お前が教えたくなったら教えろ」
「……珍しく、やさしい」
「当たり前だろ。アイドルはファンにやさしくする義務があんだよ」
「やっぱ売れてないじゃん」
「おい」
へへ。
やっぱり、蓮をからかうのは楽しい。
「じゃ、今日も秘密はお預けってことで」
「ちぇっ」
「その顔、最高に売れてない」
最後まで負けずに悪あがきしてた。
でもたぶん、今日もちゃんと、楽しかったよ。
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