詩的SF『SynapseBloom』が描く、幸せの本質

 未来都市ニルヴェイズの“ビート”が脈打つ世界観に、思わず心が踊り出しました。この物語に触れると、幸福がリズムとなって人々の間を巡る様子が、まるで音楽と感情が溶け合うダンスフロアのように感じられます。

 ですが『SynapseBloom』は、単なる快楽追求型のSFではありません。魂が二つに分かれたCたちが、自我の揺らぎや再生を求めて歩む姿は、読者である私たち自身にも「本当の幸せとは?」と静かに問いかけてくれます。CSとC’が互いを補いながら進む姿や、ディーのさりげない支えは、とても愛おしく、孤独や自己探しに悩む現代の私たちの姿と重なります。

 また、ブルームポットによる“強制的な幸福”という設定は、現代社会への鋭い風刺でもあり、物語を読み終えたあとには「自分にとっての幸せってなんだろう?」と、ふと立ち止まって考えたくなります。

 斬新な発想と詩的な情緒にあふれたこの物語、ぜひ多くの方に手に取ってほしい――そんな気持ちでおすすめしたい作品です。

その他のおすすめレビュー

瑞唏よう子さんの他のおすすめレビュー1,554