第25話 お主も〇〇よのぉ~
(ぁ、ワン、ぁ、ツー、ぁ、ワン、ツー、スリー、フォー! 麻梨亜ちゃん、麻梨亜ちゃん、この前の夜の秘密はね、麻梨亜ちゃん、麻梨亜ちゃん、昨日の夜の秘密はね……)
何かイヤな予感がした。
(教えてあげないよ、ジャンって言ったら、部屋中に魔除けの札を貼っておくからな!)
定宗が言う前に釘をさす。とたんに定宗は静かになった。どうやら図星のようだった。
(なんか~マジムカツク~大体、教えてほしいのにその態度って何?)
ギャルのような口調で定宗が答える。麻梨亜の秘密を知るためだ。ここは敢えて下手に出ておこうと思った。秘密を知った後に魔除けの札を貼ればいいのだ。
(いやっ! イヤやわ、最近の高校生ときたら、利用するだけ利用しておいて、あとはポイやなんて。こわっ!)
定宗が大阪のおばちゃんのような口調で語り掛けてくる。そうだった。俺が思っていることは、定宗には伝わってしまうのだった。ここはひとつ、穏便に……。
(俺が悪かった。頼む。麻梨亜を助けてあげたいんだ。麻梨亜が夜に何をしているのか、教えてください)
俺はテーブルに両手をつき、深々と頭を下げた。
「千尋? 何やってるの?」
隣にいた麻梨亜が不思議そうに尋ねてきた。
「え、えっと……ストレッチ……」
「えっ? 一人エッチ?」
麻梨亜が聞き間違えてそう言った……のならちょっとドキッとするのだが、その言葉を放ったのはやっぱり真緒だった。とりあえず真緒を無視し、もう一度『ストレッチ』とハッキリ言い直すと、麻梨亜は納得してくれたのだった。ふとカーテンのところに視線を移すと、定宗がけけけと笑っているのが見えた。なんかムカつくが、今は下手に出なければならない。俺は再び念じながら、深々と頭を下げた。
(そこまでされたならば仕方がない。ただ、気を悪くしたのは確かじゃ。全部は教えぬ。あとは自分で推理するのじゃ)
定宗が高慢な口調で言った。だがここは我慢だ。
(実はのお、麻梨亜は中年男性の前で『お○○いを○○て』おったのじゃ)
肝心な所を○で伏せる定宗。気になるように字を伏せて置くのはなんとなく分かっていた。
(お○○いか……。たぶん『〇っぱい』って思わせておいて、実は違うってパターンだな。となると、後ろの『○○て』は、『見せて』ってことになるな……。定宗は俺に、『麻梨亜は中年男の前で〇っぱいを見せておったのじゃ』と言わせて、『ふふふ、お主もエロよのお』って言わせたいんだろうな……はっ、しまった! 今のも定宗に読まれてしまった!)
慌てて定宗の方を見る。奴は鼻くそをほじりながら外を眺めていた。
(大丈夫ですよ、千尋さん。幽霊である私たちが念を送って千尋さんの脳と繋がらなければ、千尋さんの思っていることを察知する事はできませんから)
(そうなの?)
(はい)
どう見ても念を送って俺と繋がっているとは思えない定宗の姿を見てホッとした。そう思っていると、定宗が急にこちらを見た。
(どうじゃ? 分かったか?)
(え、えっと……)
(ほれほれ、言ってみろ)
定宗の顔がニヤケている。これはきっと俺が先ほど考えた『お主もエロよのぉ』のパターンに違いない。でもそれにのっかり、奴の機嫌をとることで本当のことを言うかもしれない。そう思った俺は、さっき思いついたことを念じてみた。
(答えはズバリ、『麻梨亜は中年男性の前で〇っぱいを見せておったのじゃ』だっ!)
俺が答えを言うと、定宗は口をあんぐりと大きく開けたまま動きを止めた。
えっ? マジっすか?
隣にいた麻梨亜の胸の膨らみをチラリと見る。制服の下にある豊かな膨らみを想像すると、ゴクリと喉がなったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます