第40話 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。私生活が少し忙しくなるので、更新が少し滞ります。ユザナの冒険が終わるまでは描き切ろうと思うので気長にお待ちください。
(防がれても何発でも撃ってやる!終わりだ!!)
「アクアシー」
「ウィンドカッ」
ドッ!
「グハッ!」
魔法を放てず、突如蹴り上げられ視界が回る。
「……な!なにをしているシュバルツ!!」
どうやら、もう1人の国剣騎士に蹴られたようだ。闘気を纏った本気の蹴りだ。
(……くそ痛い……息が詰まる……普通に死ぬ……)
「決闘に割って入るとはどういう了見だ!シュバルツ!」
「国剣騎士団は負けちゃダメなんですよ……ロイドさん…」
「俺が負けるとでも…?」
「はい…危うかったです」
ロイドとシュバルツと呼ばれているもう一人の騎士が言い争っている。
「かはっ…」
吐血する。ガチの致命傷だ。今にも意識が飛びかける。
(限界だ……もうゴール、してもいいよね……)
敵の仲間が決闘に割って入ったのだ。俺の反則勝ちだろう。
「…貴様……」
「国剣騎士団に敗北の記録はいりません……だから…」
「……何をするつもりだ……?」
「国剣騎士が危うく負けかけた…そんな情報が出まわらないように目撃者を皆殺しにします…」
「…やめろ……」
ロイドがシュバルツの暴走を止めようとするが、剣を持っていないせいか、数手組み合った後シュバルツに吹き飛ばされる。
どうやら、ゴールはまださせてくれないようだ。
(皆殺しって……やっぱエブバはやばい奴らの巣窟だな…)
「ふぐ……」
なんとか立ち上がり、残るデバイス魔力で下地を作って、自己魔力でウィンドバーストの魔法陣を充填する。
残存魔力
MP 73/126 デバイス魔力1 デバイス内自己魔力0
「すぐ終わらせますよ」
シュバルツがロイドに言い放ちこちらに向かってくる。
(魔力がもうない……ここで決める……)
ウィンドバーストが避けられない位置まで踏み込んできたので、左手の魔法陣と2つと右手の魔力用い3重発動をする。
「ウィンドバースト!」
「圧波!」
シュバルツの黄色い闘気が3重発動したウィンドバーストを弱めるが、ウィンドバーストは何とかシュバルツの動きを止める。
「ふ…」
(これが外れたら終わりだ……)
「ウィンドカッター!」
「サンダーアーマー」
ウィンドカッターがシュバルツの魔法に阻まれる。
(くそ……ダメか)
そのままこちらに向かい蹴りが繰り出される。
ゴッ
「ぐッ」
ガードもできずに蹴りを受け、吹き飛ばされる。
「う…うぅ…」
なんとか立ち上がるも、魔力もなく体力も限界だ。
(……悪いマリア……最悪な結末だ…)
シュバルツが剣を抜き、こちらに向かってくる。
(カイ……みんな…わりい…おれしんだ)
シュバルツが剣を振りかぶり俺を切りつける。
「しね」
「ダメ!!」
誰かが俺を吹き飛ばし、代わりに斬撃を受ける。
「……マリア……?」
「よかった……」
マリアが俺の身代わりになったようだ。倒れるマリアを受け止める。
「なんで…?」
「私のために……もう……誰も…死んで…ほしくない」
マリアの思いだ。自分のせいで兄が死んだと自責の念があったのだろう。
(あの時と何も変わっていない…俺の代わりに斬撃を受け死んだ母さんと…家族を守れなかったあの時の俺自身と……)
「ちっ、まぁ次はお前だ……」
シュバルツが剣を向ける。
(もうやめてくれ…誰かマリアを救ってくれ…このくそ野郎を倒してくれ…)
「……いやだ……もう俺から何も奪うな……もう奪われるのは嫌なんだ……」
体の中心に力が宿るのを感じる。
「?」
シュバルツもそれを感じたのか、手を止める。
(違う……誰かなんかいない……自分でやるしかないんだ……)
「奪ってやる…お前らのすべて……ないもかも奪ってやる!」
全身から漲る力が中心に集まる。中心の力が広がる。
(教会の魔法登録で感じた感覚だ……巨大さはないが、優しくあたたかい感覚が万能感を与えてくれる)
「闘気?いや、違う……あれは……」
シュバルツは戸惑っているのか、俺とマリアから距離をとる。
体の中心の力が一定まで広がると、次は全身に魔力が漲ってくる。
(いやこれは…魔力を吸収している?………まぁなんでもいいや…魔力があるなら限界まで、魔法をぶっ放そう…)
(待っててくれ…マリア……)
マリアを置き、両手を敵に向ける。
「ウィンドバースト」
2重発動をシュバルツに放つが、ギリギリで闘気を纏われ魔法が霧散する。
「ウィンドバースト」
溢れるほど魔力が漲る。2重発動を放つ。
シュバルツが再度、闘気を纏い相殺される。
「くそ」
埒が明かないと思ったのかシュバルツが向かってくる。
(2重発動じゃダメか……)
シュバルツが迫りくる前に魔法陣を充填する。敵はすぐそこだ。
「ウィンドバースト!」
3重発動の暴風が闘気を霧散させシュバルツを攻撃する。
「ぐっ」
再度、魔法陣を充填し3重発動を放つ。
「ウィンドバースト!」
「サンダーアーマー!」
嵐とも呼べる暴風が雷の鎧を纏った騎士を襲う。
(死ぬまで撃ってやるよ!!)
「ウィンドバースト!」
「ぐぉおお!」
シュバルツは耐えきれず、ボロボロになり飛んでいく。
(ちっ、逃げたか……)
正確には吹き飛んだだけだが、今はそれどころではない。急ぎ、中級ポーションを取り出しマリアにかける。俺もちょっと飲む。
(頼む…死ぬなよ……マリア……)
魔力は溢れんばかり残ってはいるが、中心の力はもうほとんど残っていない。気力ももうない。
(初級ポーションも飲んでおくか……)
「闘気も扱えないような子供が神域を拡張するとはな……」
今度はロイドが剣を抜きながら、意味不明なことを呟き歩いてくる。
(……もういいだろ……限界なんだよ……こっちは……)
初級ポーション飲みながら、魔法陣を充填する。
「素晴らしい才能だよ……本当に…決闘での負けは認めよう…」
ロイドが構え闘気を纏うと、先ほど俺の中心にあった力に似た感覚がロイドから感じられる。
(まじかよ……)
「だが、格の差は教えておかないとな……」
ロイドが力を解き放つ。
「暗転」
瞬間、世界が黒く染まる。
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お手紙届けに三千里 無知な無色 @rarararai7716
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