第31話
(さて、どうしようか……)
ベンチで休んでいるだけじゃ、待ち合わせの時間まで暇だ。
(そうだ……魔道具店!行かなくちゃ!)
花屋に行く途中で見つけた魔道具店に、先ほどは諦めてしまったので、今の暇な時間に行ってしまおう。魔道具店のおかげで、センチメンタルになっていた感情が元に戻る。
早速、来た道を戻り、早速魔道具店に向かうことにする。
(魔道具店は、教会とは違って店だ。欲しいものがあってお金が足りなかったら、ポーションを売ることができる……ラゴーアに向かう分だけのお金は取っておいて、それ以外は使ってしまってもいいかもしれない……)
(まずは、中に入ってからだな……)
魔道具店に着いたので、中に入ることにする。外見は、結構儲かっているのか、ちょっと豪華だった。
チリーン
ドアを開けると、ベルがなる。
「いらっしゃーい」
「………」
店の中も綺麗で、様々な魔道具と思われる商品が並んでいる。中には見覚えのある魔道具もあった。
暫し商品を眺めていると、中世的な顔立ちの店主に声をかけられた。
「ぼくひとり?ここは子供が一人で来るような遊び場じゃないよ……」
「魔道具を買いに来たんだ」
「魔道具っていくらするか知ってる?お金はあるの?」
「いくらかは知らないけど、金はある……たぶん……」
「たぶんて……まぁ……買う気があるならいいや……将来お金が溜まったら買いに来てくれればいいし……」
店主は俺が小さいので、ひやかしにきた子供だと勘違いしたらしい。訝しげだった表情が怪しげな笑顔になっている。俺をカモにしようとしているのだろうか。
「君、魔道具の知識は?」
「多少ある……」
「そう……どこから話せばいいかな……」
どうやら、店主は俺に魔道具の説明をしてくれるみたいだ。
「俺がいつも使っている魔道具は、あの四角い奴だな」
「へ?魔道具使ったことあるの?」
店主が驚く。
「いつも、使ってるぞ…水の魔道具は特に…」
「水の魔道具…君もしかして、お金持ちの家の子?」
「違うよ……ただの平民…」
「まぁ、持ってるところは持ってるか…」
この店主も俺を裕福な出だと勘違いしたらしい。ただの子供が大金を持ってるのは、やはりおかしいのだろう。魔道具の下に値札が貼ってあるから、ぼったくられはしないだろうが、少し気を引き締めよう。
「立方体やリング、ブレスレットの魔道具はダンジョンや遺跡から取れたもので、長方形の板は魔道具師が作ったものだよ」
「魔道具師?」
「そ……魔道具師……主に立方体の魔道具を再現しよう頑張ってる連中のこと」
「じゃあ、板状のもの以外はダンジョン産か昔の人が作ったものってこと?」
「んー……分からない……遺跡産は古代人がダンジョンから集めたものかもしれないし…作ったものかもしれない……」
魔道具はほとんどがダンジョン産らしい。この店に板状の魔道具が少ないことから魔道具師はほとんどいないのかもしれない。確かに魔術師を未だ一度も見かけたことがないから、同じ魔法陣を扱う魔道具師も少ないのだろう。
「この国に魔道具師はいるの?」
「いないね……魔道具師産の物は別の大陸から持ってきたものだよ……」
「そうなんだ……」
もしかしたら、この大陸には魔道具師がいない可能性が出てきた。
「魔道具師産は大量生産ができるから安いよ……たまに壊れたり、効果が弱かったりするけど……」
「ダメじゃん……」
「……消耗品だと考えれば全然いいよ……なんの魔道具が欲しいの?」
(さて、なんの魔道具を買おう……生成属性の魔道具はあるだろうか?)
(教会では目を付けられるのが怖くて聞けなかった、もう1つの適正属性である生成属性……ここでなら大丈夫だろうか……?生成属性効率を鍛えるには魔道具があれば簡単だ……できれば聞いておきたい)
今夜マリアにカナリアのことを聞けば、カーサルでの目的は終わりだ。厄介なことになっても、すぐ逃げれば良いだろう。生成魔法について聞くことにする。
「生成魔法の魔道具はある?」
「……生成魔法……?……特殊属性?」
「そう……」
「初めて聞くなぁ……どんな魔法?」
店主は生成魔法を知らないようだ。どんな魔法と言われても、俺も知らない。
「分からない……」
「分からないって……なんで君は生成魔法って言葉を知ってるの?」
「適正属性らしい……教会で聞いた……」
「なるほど……教会か……」
嘘だ。生成属性は、デバイスの力で知ることができた。
(……デバイスか……生成属性効率が地味に上がってるから、おそらくデバイスは生成属性なんだよなぁ……デバイスみたいな魔法……)
「ステータスや地図を表示する魔法ってある?」
「表示……? それが生成魔法なの?」
「たぶんそう…」
「んー……詳しくは分からないけど…そういった魔道具はたぶんないなぁ……」
ここには生成属性の魔道具はないようだ。
「ここにあるのは、基本と上位属性を合わせた12属性の各魔道具に、結界術や呪術の効果がある礼装と空間属性の魔道具が少しあるくらいだよ」
「……」
(基本と上位属性、結界術や呪術、礼装……新たな情報が多すぎる……聞きたいことが沢山できた……)
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