第6話 人の欲望を解析する

小説を書こうと思ってから、気がつけば**1か月**が経っていた。


本編どころか、プロットすらまとまっていない。


「小説を書きたい」という気持ちは確かにあった。

でも、そこに**どんな物語を乗せればいいのか**が、どうしても掴めなかった。


それでも、少しずつ書くことに慣れてきたのか、

あるいは“悩み疲れてきた”だけなのか──


ここにきて、ようやく「これならいけそうかもしれない」と思えるネタが浮かんできた。


 


そのネタが、これだ。


> 「天使の加護が発現できずに婚約破棄されましたが、

> 飛ばされた辺境の騎士団長が私のことを溺愛してきます」


 


考えうるテンプレはすべて詰めてみた。

全て、現実の不満からの解放を込めるためにネタを作ってみた。

要するに、リアルではできないことを創作の主人公に仮託するためだ。


・婚約破棄、

・無能力者扱い 

・辺境送り

(現実の不遇の象徴)

・年上のハイスペ男子

(白馬の王子様願望)

・溺愛

(スパダリから愛される妄想)

・真の能力発現

(読者の真の価値の覚醒)

・そして、ざまぁ

(現実に対する復讐)


読者の求めている“カタルシスと癒し”を満たせる材料は、一通り揃ってる。

つまり、“書ける気がする”ネタだった。

 


そこから、**大まかなストーリーライン**を考えてみた。


---


* 妹に地位を奪われ、元婚約者にも裏切られる。

* 無能扱いされ、辺境に飛ばされる。

* そこで、年上だけど誠実で頼りになるハイスペ騎士団長に出会う。

* 騎士団長の元で穏やかに暮らすうち、少しずつ能力が開花していく。

* 一方で、元の地では魔族の侵攻が進んでおり……

* ヒロインと団長が駆けつけて、婚約者と妹を華麗に断罪&救国。


---


「おお……これは、いけるかもしれないぞ」


久々にメモ帳に向かって、手が動く感覚があった。


主人公の性格は?

騎士団長の名前は?

加護って、何の加護?

妹と婚約者の悪役っぷりは、どう演出する?


まだ決めなければならないことは山ほどあるけど、

**「構成できるかもしれない」という手応え**は、確かにあった。


 


なにより、“自分で考えたプロットにワクワクできた”のが、今回が初めてだった。


どこまで書けるかわからないし、途中でまた悩むかもしれない。


でも、ようやく「ゼロを1にする瞬間」が来た気がした。


 


つづく。


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