匣 -閉じ込められた感情、伝わらない想い-

桜桃

プロローグ

第1話 流れ続ける噂

 林に囲まれている公園には、ある噂があった。


 公園の奥には公衆トイレが設置され、さらに奥を覗けば林が生い茂っている。


 手入れはされておらず、奥へと進める道は見つからない。

 だが、人の足跡だけは、奥へと続いていた。


 そんな林の奥には、古い小屋があり、たどり着けた者の願いを叶えてくれると、噂が流れている。


 発信源は分からず、どこからともなく流れてくる噂だ。

 突拍子もないため、確認しに行くほどでは無い。


 けれど、面白半分で林の奥へと行く者も存在する。

 その人達の足跡が、奥へと続いていた。


 だが、今まで誰一人として、古い小屋を発見出来ていない。


 それでも、噂は流れ続ける。


 ──……

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