ごちゃまぜヒーロー
がっかり亭
第一部・赤井潮編
第1話 プロローグ
「ホッ……レッドキック!!」
全身をタイツ状の特殊スーツに身を包み、鋼鉄を超える強度を持つフルフェイスヘルメットに顔を覆い隠された深紅のヒーローのキックが炸裂する。
やばい、今危うく必殺技名を間違えるところだった。
――深紅のヒーロー、ゴリュウレッド。
そのキックが炸裂し、異形の怪物がたたらを踏む。
人であれば顔がある位置に、巨大な蛇口がついていて、体はセラミックとも金属ともつかない硬質な皮膚に覆われた化け物――風水獣ジャグチフウスイだ。
風水獣、それは、この世をマイナスのエナジーで汚染せんとする悪の帝国ジャフウスイの先兵たる怪物である。
その力は、常人など及びつかないほど強力無比。おまけに陰の気の塊だから、通常の装備では傷すらつかない。
それは警察や自衛隊では対応できない相手を意味する。
だから、オレたち理龍戦隊ゴリュウジャーがやつら風水獣と戦わねばならない。
かつて、太古の昔に邪悪な気を封じた五龍の力を受け継ぐ五人の戦士。
ゴリュウジャーにしかジャフウスイと戦う事はできないのだ。
そう、だからこそ、ここで仮面ホッパーの必殺技を繰り出すわけにはいかなかった。
改造手術された肉体にゴリュウジャーの強化スーツを纏っている以上、ただのキックでも相手を即死させることは容易い。
そんな事をすれば、オレの正体が仮面ホッパーである事がバレてしまう。
ここは、ちゃんとゴリュウジャー五人で協力して出す必殺技『ゴリュウボール』で仕留めなくてはならない。
「何ボサっとしてるんだレッド!」
わかってる。
だが、なかなかそうも行かないんだ。
何しろ、宇宙から来た巨人――ギガントマンと融合したオレには、超感覚が備わってしまっている。
今まさに別の街に怪獣が出現した事を察知してしまったのだ。
そちらにも早く向かわねばならない。
何でこんなことになったんだ。
いや、理由はわかってる……。
オレは、理龍戦隊ゴリュウジャー、仮面ホッパー、ギガントマンの3つの力を得てしまった。
なぜそんなことになったのか……経緯を話せば長くなる。
長くなるが……吐き出させてくれ。
オレの苦悩をお話ししよう。
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