滅び行く世界
☆☆☆シベリヤ、ヤクーツク、国際会議場
誰かが言った。戦争が起きない地域は、ただ生きているだけの少数民族の居留地だと。
最後の紛争から50年経過したわ。皆、世界大戦を戦った国家元首が、仲良く顔をつきあわせている。
「残念ぇえええんだったよ。永久凍土の中から男様の遺体発見したけどぉお、大災厄後の男だぁああったよ!」
AI翻訳だと巻き舌が目立つ白銀の髪の女性は、この会議の主催者プチャーチア、オロシア連邦大統領。
そして、A4用紙を片手に叫ぶアジア人女性は新羅半島南北統一を成し遂げた。
「皆~!聞いて下さい!我が大新羅民国が男性の発祥国だったよ!我国の学者が解明した!エデンの園は大新羅国にあったよ。
だから、女好きの男を発見したら、我国に謝罪と賠償をするべきだぁあああ!」
漢大統領だ。北新羅国は、男性が20年以上生まれずに、自慢の喜ばせ組も老人ばかりだと聞く。
最後、統治能力を喪失し、平和裏に統一出来たわね。
ハーバード大学では聡明だった漢大統領も見る陰がない。それほど、国民の圧力が強いのかもしれないわ。
「アハハハハ、カン、ナイスジョークだ!だが、4月1日だったら、もっと良かった!」
アメリア国大統領、トランピア、ライオンのような金髪を振り乱し、その豊満な体を揺らして大笑いをしているわ。
「なあ、フジコもそう思うよな」
「ええ」
私は日本国首相、藤川冨士子は次の策を考える。
しかし、如何に滅びを先延ばしにするしか考えが浮かばない。
「皆様、オロシア連邦のシベリア男性捜索プロジェクト、成功で行きましょう」
「だから、大新羅民国にハーレム宮殿を作る!」
「そうネ!大華共和国は関係ないけど合わせるネ」
彼女は10億を超える大国、大華共和国の熊国家主席、名に似合わずに体躯は小さい。お団子のように髪を束ね。古の民族衣装、太ももがチラチラ見える服を着ているわ。
「ええ、貴国は男性を強制管理しているとか、情報統制もバッチリですわね」
「そうネ、洗いざらい話すよ!男を閉じ込めて、強制勃起薬で性交させているけど、生まれてくるのは女ばかりネ、1年男が生まれていないネ」
「我国も似たような状況ですわ」
結局、この会議は、以下の内容が決まった。
女好きの男が現れたら保護し各国が協力する。
その見返りに、男性発見国は、精子及び子女との性交の機会を保障する。
そして、情報統制だ。
既存男性へのけん制だ。
帰国後、国会でこの会議の説明をする。
☆☆☆日本国国会
「ヤクーツク会議では、永久凍未土で発見された男性は大災厄前の男性でした。
各国が協力して、男性の人口の増加を図る所存です」
「新日本男性共同党と男性保護委員会は、旧男性、名誉女性の復活に懸念をしめします!」
ほら、来た。既得権益を守ろうとするのだけは一人前の男性だわ。
この食料不足の中、太った体を維持し、ツヤツヤの肌の男性達だ。
彼らは、特権を享受している。あらゆる物を求めるが女性は求めない。
「それよりも、男性同士の結婚を認めて下さい」
「首相藤川冨士子君」
「ええ、男性同士が愛し合うのは否定していません」
「男性共同党、椎名太郎君」
「男性同士が結婚しても結婚維持費を支給するべきです。各国では男性同士でも支給されています。それと、女性との結婚を強制する法律で4人との女性と同居を義務づけられています。同居の義務をなくし。別居でも払うべきです!」
「首相藤川冨士子君」
「まず。事実の誤認を指摘します。我国と各国では男性同士の事実婚を認めています。
しかし、結婚維持費は支給しておりません。もし、事実ならデーターの提出をお願いします。
女性と結婚は義務ではありません。4人と設けたのは財政上の制限です。上限はありません。
あくまでも、男性に健全な小ハーレムをつくってもらうための法律です。女性と結婚したら一人につき月10万円支給され税金が安くなります。4人と結婚し、同居をすれば、月40万円と男性保護費月11万円、計51万円受け取れます。男性に関しては完全に無税状態になるのです」
「男性共同党、椎名・・・」
「ウ、ウワ~ン、性搾取された。ウワ~~~ン。悔しくて震えて声がでない」
声でているわ。全く話にならないが、仕方ない。男性の人口は200万人、全体の人口は9000万人弱だ。
しかし、法案を通すには、男性の同意がなければ通らない。
拒否権があるのだ。
まるで姫御子のように、なだめすかさなければならない。
そして、情報操作だ。これは順調ね。
『皆様、朗報です!シベリアの凍土から大災厄前の男性の遺体が発見されました。男性のクローン計画が続行中です!安全です。クローン技術は確立しています。国際社会は歩調を合わせ男性の回復に取り組んでいます!』
『大滋県の病院で男性が生まれました。安全の観点からお顔は報道できませんが、立派なおチンチンがついていました。今年、これで100人目です。では、男性の母親になれた笛吹宇曽子さん』
『はい、精子バンクでも男児が生まれましたわ!本当に良かった』
・・・・・・・・
どちらもフェイクニュースだ。クローンは成長できない。すぐに死ぬ。男児は1年生まれていない。いえ、2年前は二人だったわ。大華共和国と変わらない。
この罪は、50年後、開示される。
まあ、国が存続していたら・・・だ。
そんなとき、奇妙な話を聞いた。ヤクーツク国際会議の間に奇妙な男様が発見されたそうだ。
「千城県で、男様を保護、本人の希望で医官と兵士の介助で・・射精をしただと?」
「はい、首相、女性の介助による射精は・・・」
「何年ぶりかなんてどうでも良い、して、その男様は?」
「はい、ご息女の藤川少佐が、法律に則り。共学の高校に進学させました」
「警備は?」
「はい、校外は訓練の名目で自衛軍を展開中、校内は関係各署と調整し、これからになっています」
「それで良い。変に特別待遇をすると・・・」
また増長する。
今度こそ、間違った厚遇はしない。見極める。
「フフフフ、世界の覇者になれるわね。滅び行く世界だけど」
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