男女比1対45の世界に転移した俺「年収1000万以下の女と結婚はあり得ない」と言う男たちに異議を申し出たら名誉女性と蔑まれたけど、それでいいじゃんと思った話

山田 勝

女性たちから「キャー!キャー!」言われて追いかけられたけど、何か違うと思った俺

「待て~、痛くしないから」

「ヒヒヒヒ、可愛いな」

「生チン見せて~」

「「「キャー!キャー!」」」


 チリン♩チリン♩チリン♩


「ヒィ、誰か助けて下さい!」


 農道を自転車で女性達から逃げている俺は高校一年生、上杉賢治、15歳だ。

 白髪だらけの初老の方から、ニキビ顔の化粧気のない10代の子まで、幅広い年齢層の女性から追いかけられている。


 どうしてこうなったかって?

 理由は分からないが、経緯だけを話す。



 ☆回想


 俺の家は母子家庭だ。母さんは土木会社で事務をしている。

 だから、俺が家の事をしていた。

 部活にも入らないで家に帰る。


「おい、上杉、カラオケいかね?」

「馬鹿、上杉は大変なんだよ」

「誘ってくれて有難う。だけど、スーパーに行かなければいけないんだ」


 母さんは部活に入っても大丈夫というけれども、付き合っている人がいる。

 俺が高校を卒業したら結婚する予定だ。

 だから、時間を作ってあげたい。


 チャリ通で片道10キロ。最近、物価が高いから激安スーパーに行く。

 しかし、いつも同じ道では飽きるな。


「今日はエロ神社に行くか・・」


 山道にある。景色はいい。

 昔は、参勤交代で使われた由緒正しい道らしいけど、今は役所が年に数回整備するだけの道だ。

 その途中に、いわゆる道祖神がある。男性にしかない器官を形取った石だ。


 不思議なことにいつから有るか分からない。古いものでもない。

 刻まれた碑文が、「光文27年6月吉日、男性が増えることを祈念する祈念省」

 と楷書体で書かれている。


 どっかの石材屋さんがネタで作って放置した説が有力だ。しかし、御影石だろ?

 金かかっているな。


 目をつむって、柏手をうち願いを言う。


 ''彼女出来ますように、出来たら大事にします’’


 ピカッ!


「な、何だ」


 光に包まれた。


 何か。ランランラン~♩と歌声が聞こえてきそうだ。アニメのワンシーンのようだ。

 景色は変わらないが、山道を降りたら、違和感がある。

 お姉さん達が田んぼで作業をしていた。



「ヒィ、男?」

「何故、ここに?」

 トラクターはあるが、皆その他は手作業だ。トラックもある。


「あれ、ここは、千城県ですよね」

「お、男様だ!」

「保護しなきゃ!」



 そして、あの状況に陥った。



 ・・・・・・・・・・


 思い出しても状況は変わらない。



 ブロロロロロ~~!


 あ、車のエンジン音、前からジープが来る。

 深緑。あれは自衛隊か?


 キキーと止って、迷彩服の自衛官が二人出てきた。あれ、女性自衛官だ。


「男様?」

「保護だ!さあ、当職の後ろに隠れて下さい!」

「はい、有難うございます」


「警告射撃!」


 バン!バン!バン!バン!


 え、撃ったよ。何か銃から出ている。あれは薬莢だ。

 空に向けて撃っているけど。


「次は地面を撃つぞ!」


「チィ、自衛軍かよ」

「せっかく。生チンを拝めると思ったのにな」

「あ~あ、じゃあ、帰って、闇エロ本でも見るか」

「それ、何年前の物だよ。飽きたな」



 ☆☆☆自衛軍千城県某分屯地


 自衛隊?自衛軍の分屯地という所につれて来られた。


 女性兵士二人に連れられて幹部室と標識のある部屋に入る。


「当職は分屯地司令野木崎大尉です。男様、公民証は?」

「え、ありません」


「では、スマホは?」

「はい、あります・・」


「これは・・・見たこと無い仕様ね・・国民口座アプリは?」

「何ですか?ネット銀行はありますが・・・」


 どうも話が通じない。

 簡単な取り調べを受けて、医務室につれて来られた。

 健康診断を受けた。女医さんだ。ここまで男性を見ていない。最後は・・


「健康ですわ。では、最後、採精を行います」

「はい?!何ですか?それ」

「精子を取らせて頂きます」


 ぶっ飛んでいた。

 つまり、オナニーをしろとの事か?


「これが、オカズです。私どもの私物です。汚して結構、いえ、汚して下さい。席を外しますから、ビーカーにピュピュと」

「ちょっと、待って下さい。これは男性モデルの雑誌ではないですか?」


「???えっと、上杉様は、多様性ではないのですか?」

「多様性?いえ、私は女性が好きですか?」


「「「ハアアアアアアアアーーーー!」」」

「う、上に報告だ!」


 心底驚かれた。


「なら、わ、私、大学で男性のお手伝いの仕方を学びました。射精の介助をしても?」

「ええ」


 ・・・・・・・・


 手で三回取られた。


「「「はあ、はあ、はあ、はあ」」」


 女医さんと女性兵士二人の鼻息が荒い。初めての風俗が白衣と迷彩服で4Pか。

 いや、体を服の上から触らせてもらっただけだ。これは風俗ではない!


「貴方様さえ、宜しければ、その、交尾、しませんか?」


 女医のメガネが鈍く光った。


 ペロ!

 女性兵士は舌を出し唇を舐めた。


 何だ。状況が変わっていないじゃないか。初体験は普通に彼女としたい!


 トン!トン!トン!


「藤川少佐!入るぞ!」


 ノック三回の後、時間を空けずに人が入って来た。階級が高そうな女性と副官っぽい女性だ。


「「「ヒィ、藤川少佐!」」」


「諸君、折角の殊勲を無駄にする気かね?吉田軍曹と川原上等兵は1階級特進と褒賞休暇だ。梅田医官殿も俸給が上がるぞ」


「「「はい」」」


 三人は蜘蛛の子を散らすように部屋を出て行った。


「ほお、これはどこかの富豪の秘蔵っ子か?」


 藤川少佐は顔を近づける。切目の美人さんだ。


「私は自衛軍参謀本部付藤川冴子だ。階級は少佐、直々に取り調べをしに東京から来た。君はどこから来たのだね?」


 俺は正直に話した。


「君は嘘を言っていないと思うが、とても信じられない」


「あの、俺はどうなりますか?」


「男性保護諸法で保護されるよ」



 バタ!バタ!バタ!


 ヘリで来たのか?庭がヘリポートになっていた。羽がまわっている。


「ヘリで事故が起きたら大変だ。装甲車で東京まで行く。野木崎大尉、装甲車を用意してくれ」


「はい!装輪のですね!用意しております。通称、『いざ鎌倉へ!』訓練をします」


「理解が早くて助かる」


 この分屯地で1番偉い人がヘイコラしている。確か、階級は一つしか違わないのに。いや、藤川さんは若い。司令さんは、初老だ。


「フフフフ、もし、君が異世界日本から来たのなら、ご愁傷様だ」


 何故、ご愁傷様なのだろう?


「ここは滅び行く世界だよ」


 滅び行く世界・・・何だろう。と思う俺がいた。


























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