第9話
幸繁は迷った末、救難信号を発している者を救出することにした。
燃料を補給し救難信号を頼りに宇宙船を進ませる。
救難信号はかなり微弱なようで辿るのは大変だったがそれでも何とかたどりつくことが出来た。
救難信号を発していた宇宙船は見た目は幸繁が乗っている物と全く同じだった。
通信を送ってみるが相手からの反応はない。
このままじっとしてても仕方がないので幸繁は宇宙船を降りて救助者の乗っている宇宙船に近づく。
外部から強制的にハッチを開けて中に踏み込む。
宇宙船の内部はほとんどがその機能を止めていた。
辛うじて生命維持の機能が働いているぐらいだ。
救助者は宇宙服を着ているがここからでは生きているのか死んでいるのかはわからなかった。
近づいて宇宙服についているバイタルをチェックする。
バイタルはレッド。
残念ながら亡くなっていた。
助けられなかったのは残念ではあるがどこかほっとしている自分もいる。
その理由はわかっていた。
死刑囚となるぐらいの犯罪を犯した相手に近づくのだ。
相手によってはどうなるかわからないのだから当然だった。
幸繁は亡くなっている人物に黙祷を捧げる。
宇宙船の内部を調べて分かったが食料はなかったが他の物資は手付かずだった。
自分も物資に余裕があるわけではない。
このままこの宇宙船をベースに持ち帰り再利用することに決めた。
自分の宇宙船に戻り少しだけ燃料を確保した宇宙船に補充して遠隔操作でベースに戻る。
「ふぅ・・・。助けられなかったのは残念だけど収穫もあったな。その前に・・・」
幸繁は資材で人が入れるぐらいの箱を作る。
そしてその中に亡くなっていた人物を入れる。
簡易的ではあるが何もしないよりはいいだろう。
少し間違えば自分がこの人物と同じ状態になることも考える。
生存の為にできることをしなければ。
何か不足している物はないか改めて考えてみる。
水は余裕があるし酸素も補充の目途はたっている。
農作物限定だが食料もなんとかなりそうだ。
資材も少しずつではあるが順調に集まっている。
何の問題もないように感じる。
だが、果たして本当にそうだろうか?
考えてみるものの思いつくことができなかった。
ならば、今後の方針を考えてみよう。
活動範囲を少しずつ増やしていき移住可能な惑星を探す。
そこで1つの問題点に気がついた。
ここをベースにしている限り活動範囲はどう頑張っても限定的だ。
それを解消する為にはベースの設備も移動できるようにするべきだ。
AIに解決方法を投げてみる。
するとAIは解決方法を提示してくれた。
資材は大量に必要になるがコツコツ頑張っていくしかないだろう。
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