第6話

幸繁は採掘ツールが出来上がるたびに設置に向かった。

そのおかげもあり資源の貯蓄状況は順調だ。

「作るのに時間もかかるだろうし少しずつ作りはじめるかな」

といっても幸繁はAIに指示を出すだけだ。

専門的な知識なんて持ち合わせていない為、AIに任せられるのはありがたい。

出来上がった部品をAIの指示のもと組み合わせていく。

デザインなどに拘る余裕などない為、完全に箱の形だが機能さえしっかりしていればいいのだ。

1ヶ月ほど作業を続けると作業がようやっと終わった。

後は植物が育つように空気を用意する必要がある。

この問題は宇宙船と接続することで解決した。

宇宙船の酸素が少なくなるがそれでも背に腹は代えられない。

試験的に育てやすいというジャガイモを植えてみる。

これで成功すれば食糧問題に希望が見える。

今からどうなるのか楽しみだ。

最後に水を循環するようにタンクに入れれば作業は終了だ。

「水と空気か。必要だったとはいえ残りの量だと不安が残るな」

この宇宙船は優秀で少しでも周囲に存在していれば取り組むことができる。

今後のことを考えれば住めなくても補充できる場所を探した方がいいだろう。

「よし。酸素と水を求めて周囲を探索してみるか」

幸繁はそう決めて調査を再開することにした。



「う~ん・・・。水に関してはなんとかなったな」

水についてはデブリに混じって氷が漂っているのを確認し採取することができた。

問題となったのは酸素だ。

これが中々見つからない。

だが、諦めるにはまだまだ早いだろう。

調査をしていない場所はまだまだ沢山あるのだ。

燃料を補給しつつ調査を開始して2週間ほどして幸繁はようやっと酸素のある惑星を発見した。

緑はないがそれでも惑星上に空気の層があり酸素を確保する為に惑星に降下する。

今までは宇宙船の消耗を抑えるために表面上から調べるだけだったがはじめての降下だ。

AIの補助を受けつつ惑星に降り立った幸繁は空気の分布を調べてみる。

残念ながら水を用意してもこの惑星に可住するのは無理だった。

確かに酸素は存在するが有害物質の方がはるかに多い。

地球というのは本当に奇跡のような星なのだと改めて感じる。

作業はAI任せにするしかないので宇宙服を着て外を出歩いてみる。

重力も地球とは違うようで少し動きにくいがそれでも久しぶりの地面だ。

運動不足でもあるし体を存分に動かしてから宇宙船に戻った。

作業は終わっており後はベースに戻るだけだ。

幸繁は宇宙船を操作して惑星を飛び立った。

念の為、宇宙船の状態を確認するとかなり負担がかかっていることがわかる。

気軽に惑星に降下はしない方がよさそうだった。

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