第2話

地球から一定の距離離れたことで乗っている宇宙船は自由に動き回れるようになっていた。

一定の距離から近づくことはできないが大きな進歩と言えるだろう。

「さて・・・。可住可能な惑星なんて早々見つからないだろうし補給拠点が必要だな」

今はまだ、燃料にも余裕があるし宇宙船にも不具合はないが問題が起きてから動いていては遅いだろう。

取りあえず巨大なデブリに宇宙船を止める。

「ええっと・・・。補給拠点を作るといってもどうしたらいいんだ?」

幸繁は支援システムを立ち上げ色々調べてみる。

「よくわからん・・・」

幸繁は政治が専門であって技術者というわけではない。

「おっ。AIがあるのか・・・。取りあえず立ち上げてみるか」

幸繁はAIを起動してみる。

「マスター。ご用件をどうぞ」

「資材の補給拠点を作りたいんだけどどうしたらいい?」

「検索中。検索中」

しばらく待つとAIから返答がくる。

「宇宙船に開発ツールが乗っています。そちらを利用することをお勧めします」

そう発言すると同時に図が表示される。

幸繁は図を頼りに開発ツールを手に取った。

「俺は技術者じゃないんだ。サポートを頼むぞ」

「マスター。指示に従ってツールを展開してください」

それから幸繁はAIの指示でツールの展開を開始した。

3時間ほどをかけてツールの設置が完了する。

「お疲れ様でした。後は起動させるだけです」

幸繁はツールを起動させてみる。

すると接地面にドリルが出てきた鉱石の採掘を開始する。

採掘された鉱石は即座に選別され種類ごとに仕分けされていく。

仕分けされた鉱石は一定量集まるとインゴットに加工されるようにできているようだ。

お世辞にも効率が良いとは言えないがそれでも自動で全てやってくれるので後は待つだけでいい。

「他に出来ることは・・・」

「燃料の補給装置の設置を推奨します」

「そうか・・・。燃料の問題もあったな」

AIが燃料の補給装置の仕様書を出してくる。

「なるほど・・・。宇宙には様々な物質が漂っている・・・。その中からガスを抽出して貯蔵するわけか」

燃料の補給装置も効率はかなり悪い。

それでも設置しないよりはいいだろう。

幸繁はAIの指示のもと燃料の補給装置も設置する。

「これでよしっと・・・」

これで最低限の補給の目途がたった。

「取りあえず食事を取ってから次の行動を考えるか」

動いたこともありかなりお腹が空いていた。

積まれている軍用レーションは美味しくはないが栄養はしっかりと取れる。

はやいところ食料事情もなんとかしたいがこちらは可住可能惑星が見つからなければ難しいだろうなと諦めるしかなかった。

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