スマホのマホ!〜僕のスマホに取り憑いた女子高生幽霊に恋愛指南をされているんですが〜
三国 佐知
第1話 トラウマ
「
「うん、のんびり屋さん。でも幸也はやさしいよ」
「何だよそれ……あ!分かった!佳奈って幸也のこと好きなんじゃねぇ?!」
「な?!そ、そんなことないよ!だ、誰があんな暗いやつ!」
「暗いやつ……あははッ!確かにー。あいつと遊んでてもつまんねぇし、もう仲間に入れるのやめようかなー」
「こらッ!そんなこと言わないの!
「キャハハ!将吾くん、うちのママに怒られてやんのー」
「………………。」
佳奈ちゃんと将吾くん……
ずっと友達だと思っていた。
でも、2人にとって僕は邪魔者だったんだ……
言いようのない悲しみと悔しさで、僕は木の陰から出ていくことができなかった。
ミーン、ミーン、ミーン、ミー……
2人のために家から持って来たアイスは、蝉が鳴き叫ぶ夏の公園の暑さで溶け始めていた――
*****
リリリリ……
目覚ましが鳴る
はぁ……
また小学生の時のあの夢か……
今日から中学3年だぞ。
受験とか塾とか、考えなきゃいけないことがたくさんあるからこんなことで頭を悩ませている場合じゃないのに……
しかもあれから3年は経っている。
完全にトラウマになってしまって、未だに女の子と話すことはもちろん、どうやって友達と接したらいいか、なにも分からなくなってしまった……
夢にまで出てきちゃってるし
こりゃ重症だな……
ベッドのヘッドレストの上に置いてある目覚まし時計に手を伸ばす。
うんん――手が時計に届かない……
ゴチッ
「あ、痛!」
時計がヘッドレストから落ちてきて、おでこを直撃……
ツイテナイ
おでこをさすりながら、モソモソとリビングに行くと
「ごめん、
朝からバタバタしてると思ったら母さんか。
「……母さん、いいよ。牛乳でも飲んどくから」
母さんも忙しいからな
こうやってたまに寝坊したりする。
「や、おはよう幸也。なんだまた寝坊したの母さんは。僕もやるよ」
父さんだ。
すでにネクタイまでしている。父さんは一家の中で1番のしっかり者だ。
「ありがと。今日仕事休みだからって油断しちゃった」
「僕は午後から仕事休むからね」
そう言って父さんを朝食の準備を手伝い始めた。
「おはよー。わぁ、お兄ちゃんすごい寝癖ー」
続いて妹の
琴葉は今日から中学生だ。少し大きめの制服を着ている。
入学式は午後からなのに。
「やぁ、やっぱりとても似合ってるよ琴葉。本当に。早いもんだなぁ」
「えへへ、ありがとお父さん」
少し恥ずかしそうにして得意げになっている娘を見て涙を浮かべる父さん。
琴葉が嫁に行く時はこんなんじゃ済まないかもな……
我が家は朝からバタバタとして朝食は食べそびれるは、妹からヤイヤイ言われるは
なんか、やっぱりツイテナイ。
まぁ、いいさ。
今年こそ……
今年こそはちゃんと友達を作るぞ!
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