xヴォイド/ヴォイド・ヴァニティローグ 〜達観型中二病は二度目の人生で最高のキャラを作りたい〜

Cynthia4Write

Cp.1ㅤプロローグㅤ『夢敗れて異世界?』

Ep.0


 あたたかい。

 きもちいい。


 真っ暗な海の揺り篭を揺蕩いながら、原始的な感情が思考を支配する。

 自分は何者なのか。なぜこんな場所に居るのか。

 取り留めようとする思考が泡沫に消えていく。

 慈母のような優しい抱擁をその身に受けながら、また微睡みに沈んでいく......



 どのくらいの時が経っただろう。

 暗闇から誰かの声がする。声に呼ばれるように体を動かそうとするが、すぐに壁に阻まれて思うように動けない。

 と、今度はその壁が、どうやら頭側に開いていた穴の方へ押し出されるように迫ってくる。

 やめてくれ​───苦しさと、この居心地の良い場所から追い出そうとしているのだと本能的に理解し身じろぐが、力の入らない体では到底叶わない。

 抵抗虚しく追い出された体がまず感じるのは、体表に纏わり付く慣れない感触。

 その気持ち悪さに声を上げようとして開けてしまった口から、その感触が喉の奥に流れ込んでくる!

 そうして堪らず産声を上げた。それが、また一人、男が苦難の道を歩むために、この世に生を受けた瞬間だった。

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