第3話 ヤバ女襲来

 スレ民たちと先程の電話のことについて書き込みあってから10分ほど経った頃だ。


 ピンポーン。


 インターホンがなった。ヒュッと息が止まる。


「まさかな…」


 夜、といってもまだ深夜には程遠い、恐らく大学の誰かが酒でも持ってきたんだろう。

 あり得るとしたら酒豪の田中とかか。


 ピンポーン。

 …

 …


 ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン


「うるせえな!?」


 俺は渋々ドアの前に立ち、恐る恐るドアの覗き穴を見る。


「教祖様ー?」


 そこには、黒いローブを着た、背格好からするに女が立っていた。


 ──知らない女だ。いや、知ってはいる。おそらくさっきの電話の主だろう。しかし、マジで来るのか?


「マジのガチで宗教勧誘?」


 手元の電話が揺れる。


 ──非通知


 一瞬、心臓が変なはね方をした。


「…もしもし?」


『教祖様、ご安心ください、ご自宅の鍵は私達では開けられませんので』


 ドアの先にいる女はスマホを耳にあてながら、ドアノブをガチャガチャとし始めた。


「いやそこは安心じゃねえんだよ、開けようとすんじゃねえよ」


『私はアル。救世信光団の、“教祖捜索部”所属の導師です』


「初耳すぎる役職だな……いや、そもそもお前、どうやって俺の家わかったんだよ」


『予言です』


「解決になってねえよ!!」


 俺は頭を抱えながら、スマホの電源を落とす。


 なにがどうしてこうなった? なんでバイト終わりにホラーイベント始まってんだよ。


 だが、インターホンを鳴らし続けられるのもご近所迷惑だ。


 仕方なく、ドアチェーンだけかけて玄関を開ける。


「おい」


「あっ……!」


 そこには、想像以上に整った顔立ちの女がいた。銀髪で、青い目。歳はたぶん……二十代前半くらいか? 白い肌に、真っ黒なローブが映える。


 とりあえず一言だけ言っておこう。


「通報すんぞ」


「していただいても構いません、私は此処を退きませんから」


「えっ?」


「あなたこそが、私たちが待ち望んだ“教祖様”――

 救世信光団、第三の光です」


 ポエムか? いや違う。マジのトーンで言ってる。

 こいつ、マジだ。たぶん頭のネジが5本くらいどっか行ってる。


 尚更家にあげる訳には行かない。


「…まあ、なんか、帰ったらどうだ?ほら、もう夜も遅いし、若い女性がこんな夜分に出歩いちゃいかんでしょ」


 俺の伝家の宝刀、相手を気遣いつつも早く帰らせる!を使う。


「教祖様、こんな一信者にまでお優しいとは…感激致しました…」


「ダメだこれ」


 マジでネジ飛んでるとかいうレベルじゃねえ、思想は自由だけど俺にそれを押し付けるな。




 結局家にはあがられた。

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