本作の良さは、主人公が“恨みを燃料に爆走するタイプではない”点にあります。
無気力で、やる気がないように見えて、どこか憎めない。
この脱力系主人公の雰囲気が物語全体の空気を柔らかくしています。
追放された怒りや悲しみよりも、主人公が能力を試すワクワク感の方が強く伝わってきます。
棚ぼたで得た力とはいえ、主人公は一気に無双しません。
あくまで“こつこつ”“地味に”“本人のペースで”強くなる。
派手なバトルよりも、じわじわ上がるステータスや、新しい使い道を発見していく工程に魅力がある作品です。
ライトで読みやすいテンポではありますが書き出しは情報量多めかな?
『役立たずとパーティーからもこの世からも追放された無気力回復師、棚ぼたで手に入れたユニークスキル【銀化】で地味にこつこつ無双する!!』は、『弱い自分でもやり直せる』を明るく見せてくれる物語です。まず心をつかまれたのは、銀竜の洞窟で仲間だと思っていた三人に囮にされ、主人公ユリナスが真っ先に竜へ差し出されてしまう場面。ところが銀竜は「新鮮なほうが美味い」と言って彼を復活させ、のんきに会話が始まり、気づけば「1年は雑用をしろ」と同居生活に。ここでユニークスキル【銀化】(触れた物を本物の銀に変える力)をもらい、外の世界へ送り出される流れが『怖いのに笑える』絶妙さです。
次に好きなのは、街へ戻ったユリナスが【銀化】を早速やらかすところ。銅貨を銀にしたり、小石を銀にして店で使おうとしたりして大失敗。偽金は重罪だと知って青くなるなか、アクセサリー店のマリに力を見せてしまい、彼女が「それ以上は言わないで。危ないから」と真剣に止める場面が温かい。力の使い方を学び、人を信じ直す一歩にもなっていて、コメディの裏にちゃんと優しさがあります。
全体を通して、テンポのいい会話と『地味だけど効く工夫』が心地よく、ユリナスがコツコツ前に進むほど強くなっていくのが楽しい。次はどんな「銀化」の活かし方で日常も戦いもひっくり返すのか、続きを応援したくなります。
回復しかできないFランクの少年・ユリナス。
彼がスカウトされたのは、あこがれのA級パーティー。
しかし――それは、囮として差し出すためだった。
最強ボス・銀竜の爪で命を奪われたユリナスは、何故か目を覚ます。
理由はひとつ、「新鮮な方が美味しいから」。
こうして始まったのは、ダンジョンでの地味で過酷な下働き生活。
掃除、食事、骨の整理。
1年間、地味で奇妙な共同生活を経て、彼は銀化という唯一無二のスキルを得る。
そしてついに、自由の扉が開かれた。
だが、竜の瞳はどこか寂しげで……。
裏切りから始まり、再生と愛着に至る、
誰にも期待されなかった少年と孤独な竜の、
じんわり温かく、時に切ない、再就職ファンタジー。