~女神聖母女王召喚~男女比率が女1対男1000の異世界に召喚されたJK

楠本恵士

異世界に召喚された少女は男たちの好奇な視線の中で見世物扱いされる

 パンツと男物のTシャツ姿で、自室のベットから眠っている時間帯に、異世界召喚されてしまった女子高校生は。

 素足で魔法円が描かれた、石畳いしだたみの床に眠りながら、少し揺れて立っていた。


 少女の眠った体にまとわりついていた、召喚魔法の煙が消滅すると、女子高校生の少女は目覚めて静かに両目を開けて小さな声を漏らした。

「えっ⁉」

 周囲を見回す女子高校生の視界の中に、中世異世界の格好をして魔法円の外から少女を取り囲んでいる、若い男たちの姿があった。


 ぶ厚い書物を開いて、現世界から召喚された少女と、書物の図を見比べている若い男の呟く声が聞こえてきた。

「古代の医学書に描かれている、メスの姿と同じだ」

「衣服が邪魔だな……剥がして、もっとよく体を観察するか?」

「やめろよメスは、この世界では希少な未知の生物なんだから……どんな反撃されるかわからないぞ」

「牙とか爪に毒とかあったり……体から放電するとか、周囲の色に合わせて保護色に変色するとか」

「それあり得る……錬金魔法でホムンクルス繁殖する男と違って、女というのは腹を膨らませて、男や女を産み出すらしいって図書館の古い本に書いてあった」

「げぇ、なんだよそれ……気持ち悪いな」


 勝手にワイワイ話している男たちに向かって、女子高校生が言った。

「ここどこ? あんたたち誰?」

「わぁ⁉ 喋った?」

「現世界から先生が召喚したメスが、この世界の言語を?」


 厚い書物を開いて、少し年齢が上の男性が驚いている若い男たちに向かって言った。

「静かに……よし、言語翻訳魔法は間違いなく現世界のメスの頭の中に定着しているな……わたしたちの言葉が理解できるかな? 現世界から召喚したメス

「わかります……ここドコなんですか? あたし、自分の部屋で眠っていたはずなのに?」


「国の名前を言っても、聞き覚えが無い国名だろう……ある事情があってメス……この言い方は失礼か、君を召喚した」

 年齢が少し上の男性は、自分は魔導師の教官で国王から頼まれて、現世界から女子高校生を一人〝お取り寄せ〟したと伝えた。

「この世界の男女比率はかたよっている……女1に対して男1000くらいの隔たりがある」


 男女比率を聞いた、パンツと男物のティシャツ姿の女子高校生は、胸を両腕で隠すと男たちに体を斜めにして背を向けた。

「あたしの体に何をするつもりなんですか! エッチなコトしたら承知しませんよ!」


「落ち着いて……この世界の男たちは、数ヶ月前から国が支給されて食物の、中に混入された性欲減退の薬を摂取させられている……君の姿に発情するコトはない……たとえ、ここで君が全裸になっても、誰も興奮とか発情はしないから」

「それも少し寂しいんですけれど……で、あたしを召喚した理由ワケは?」

「国王がこの国には、男たちの心のよりどころになる〝女神聖母女王〟の存在が必要だと言ってね」

「女神とか聖母って……あたし、そんな特別な力ありませんよ……それに女王って、国王と結婚するんですか?」

「形だけの肩書の存在でいい……城のバルコニーから、眼下の男たちに微笑んで手を振る程度でいいから」

「はぁ?」


 召喚された女子高校生は、もう元の世界には戻れないと聞かされて諦めて〝女神聖母女王〟をやるコトにした。

 まずは数ヶ月間、城で女神と聖母と女王の基本的な知識を学ばされた。

「女神は神です、神々しい畏怖と崇拝される存在です」

 女神担当の講師が女子高校生に、必要な知識を伝授した。


「聖母は愛に溢れた存在です、男たちの心を癒して、時に奇跡を起こします」

 聖母担当の講師が黒板に書いた言葉を、女子高校生は紙に書き写す。


「女王は威厳のある存在です……高貴なオーラをまとって、民衆から慕われ敬愛される存在です……ここ、次のテストに出ますからね」

 女王担当の講師の熱心な講義を女子高校生は、真剣な眼差しで拝聴した。


 さらに、王族や貴族の作法も学び、異世界のお嬢さま的なエチケットも女子高校生は身につけた。


「ごきげんよう、みなさま……よいお天気ですわね……おほほ」

 そんな、令嬢言葉と振る舞いが、女子高校生から自然と出てくるようになって。


 女神・聖母・女王のすべてのスキルを得たした女子高校生の、バルコニーデビューが明日に迫った前日──ある恐れていた事件が起こった。


 城執事の若い男が、隙を見て女子高校生に迫ってきた。

 城の、人の目が届かない死角の場所に連れ込まれた女子高校生に、発情した若い執事が迫る。

「ずっと、遠くからお姿を拝見していました……もう我慢できません、ここなら咲き乱れる白バラの茂みが死角になって誰からも見えません……さあ、わたしと交わりましょう──やり方は伝説の性書物を読んで学びました」


 カチッカチッとベルトを緩める音が聞こえた時──白バラの茂みを剣で切り裂いてイケメンの騎士が現れ、女子高校生に迫っていた執事の首筋をつかむと城壁の外へと放り投げた。

 悲鳴を発して城の堀に落下していく、執事に向かって騎士が言った。

「恥を知れ、女神であり聖母であり女王であるメスに、なんという無礼を」

 女子高校生に、ひざまずいて青眼のイケメン騎士が言った。

「もう安心です……明日まで、わたくしが寝室で一緒にベットで添い寝をして、お守りします……ハァハァ」


  ◆◆◆◆◆◆


 翌日──城のバルコニーに立った、女神で聖母で女王になった女子高校生は、眼下の広場に集まった男たちに向かって、笑顔で手を振った。

 男、男、男、男たちが女子高校生を賛美する。


「メス、メス、メス」

「女、女、女」

「女神、女神、女神」

「聖母、聖母、聖母」

「女王、女王、女王」


 女子高校生を一目見ようと、遠方から来た男たちも歓声をあげる。

 笑顔で手を振りながら、異世界召喚された女子高校生は……。

(女1対、男1000の世界で、大切にしてくれるのは嬉しいけれど……いったい、なんなのコレ? あたし、これからどうなっちゃうの? もしかしたら、あたしが男性を虐げる〝女尊男卑〟の世界に……ないないない、あたしの性格上、それはムリムリ)

 そう思いながら女子高校生は、男たちに向かって笑顔で手を振り続けた。


  ~おわり~



★すみません、すみません、わたしの筆力だと、この展開が限界です。

これ以上書くと、発情した異世界の男たちがケダモノ化して、女性に向かって牙を剥きます

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~女神聖母女王召喚~男女比率が女1対男1000の異世界に召喚されたJK 楠本恵士 @67853-_-

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