彼女、復活

「んぅ......! ふわぁぁ......」


 数時間後、大きなあくびと共に燐華さんは目を覚ました。


「あ、おはようございます。......夕方ですけど」


「えっ、あっ、お、おはよう!」


 燐華さんが慌てて飛び起きたので、俺の顎と燐華さんのおでこが衝突してしまう。

 あまりの痛さに、二人で悶え苦しむ。


「り、燐華さんが元気になって......よかったです......」


「あ、ありがと......ね......」


 二人して数十秒ほどベッドで倒れ、痛みが引くのを待つ。

 ある程度痛みが引いてきたところで、俺たちは起き上がる。


「......喉乾いちゃったな」


「あ、それなら水......」


 水を持ってこようとしたが、燐華さんは足元の鞄からビール缶を取り出し、右手だけで機用に蓋を開け、一気飲みする。

 そして、缶をテーブルに叩きつける。


「ふわあぁぁ......! 格別......!」


 燐華さんの顔が赤く染まり始める。

 どうやら燐華さんは立ち直れたようだ。


「燐華復活! いやー、志永くんにはいつも以上に迷惑かけちゃったなー......。お出かけもできなかったし、本っ当にごめんねー」


「いえ、元気になってなによりです」


「よーし! 今夜は飲むぞー!」


 燐華さんはもう一つビール缶を開け、飲み干す。

 四本目を飲み終えたところで嘔吐してしまったが、その顔は苦しそうな顔ではなく、笑顔だった。

 いつもの燐華さんに戻ったのだと、俺は心の底から安心した。

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