第1.4話 おっぱい好きな、不思議ちゃん
放課後は鍛錬の時間。
真っ先に廃工場へと向かう。
師匠は大体、遅れてやってくる。
単純に、時間にルーズなんだと思う。
だから、誰もいないと思っていた。
「えっと……」
女の子がいた。
小学生……にはなっていない、のか?
廃工場の真ん中にポツンと座っている。
ボーっと、上の方にある窓を見ている。
第一印象は、不思議ちゃん。
「お姉さん」
「へ?」
10メートル近く歩み寄ったところで、突然のお姉さん呼び。
な、なんか嬉しい。
でも、窓を見上げたまま声をかけてきたことにはびっくりである。
ボーっとしている表情も変わらない。
「私の目の前にきて」
「あ、はい」
目の前まで足を運び、体育座りをしている不思議ちゃんの前で屈む。
「……」
「……」
え、なにこの時間。
突然の不思議ちゃんからの命令、黙りこくる私と不思議な子供。
今日は風が少ない日なのに、なんか少しの音でも耳が拾ってしまう。
それぐらいには静寂な時間が流れていく。
「大きいね」
思わず、「何が?」と苛立たしげに聞くところだった。
最近すごく気にしているのだ。
身長はなんだか170センチに届きそうな勢いだし、なんか……胸のあたりもどんどん重くなるし……。正直、男女関係なく視線が痛い。そんな感じ。
「お姉さん」
「は、はい」
不思議ちゃんは立ち上がり、私にやっと目線を合わせる。
「立って、そして私の目のところまでかがんで」
「え? あ、うん」
とりあえず、言われた通りにした。
「ん」
おっぱいを横から両手で鷲摑みされる。
なんか、ちょっと声出ちゃった……。
「これ」
「へ?」
「大きいよね、これ」
もしかして、さっきの答え合わせ?
さっきの「大きいね」は、このおっぱいのことを言っていたのか?
「いいなぁ」
「んん……ん!」
もみもみされている、おっぱいを……。
なんか、程よく気持ちいい……。
「あ、ん」
「やわらかい」
なんか、変な雰囲気になっているような……じゃなくて!
と! とにかくやめさせないと!
不思議ちゃんの両手を優しく掴み、おっぱいから遠ざける。
「もっと、さわってたかった」
「だ、だめ……です」
「ざんねん」
私から興味をなくしたのか、不思議ちゃんは体育座りの姿勢に戻る。
なんだったのだろう……。
「ごめーん! 遅れちゃった……って、楓……何してんの?」
「あやかちゃんに会いにきた」
え、師匠と不思議ちゃんは知り合いなのだろうか。
ていうか、なんで私の名前を知っているのか。
「えっと、遅れたうえにうちの娘の相手させてごめんね! あやちゃん!」
「え! 師匠の娘さん!?」
「そうだよ、ぶい」
なぜか、右手をチョキの形にしてVサインをする不思議ちゃん。
いや、さっき、「かえで」と呼ばれていたような……。
黒パーカーの不思議ちゃんとの出会いは、こんな感じだった。
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