第9話(サブストーリー) 変なオジサン
大ちゃんにすみれちゃんを送ってもらうことにした。
「いやいや、あやはどうすんだよ」
「え? 一人で帰るよ?」
「ダメですよ! 女性が一人で歩くのは危険です!」
「え、でも私を襲う人なんて……」
「そういう話じゃねぇんだよ馬鹿! ほら、一緒に純恋を送るぞ」
だめでした。
うーん、すみれちゃんや大ちゃんが思っているよりも、私は強いんだけどなぁ。
「私が高校生でアルバイトしてた時、おじさんから花束もらったことがあってね」
「えー! 素敵じゃないですか!」
「いや、単純にヤバい奴では?」
「バイト終わりに、たまたまおじさんと会うこともあったな」
「ほう?」
「え、やば」
「でも段々と会う頻度が多くなって、高校の帰りにも会うようになったんだー」
「うわあ」
「うわ……」
「そうしたらさ。いつの間にか、おじさんは現れなくなったの。ぱったりと」
「そ、そうなんですね!」
「へえ」
「あの人、どこに行っちゃったんだろうねぇ」
「どこに行ったんでしょうね!」
「え? そりゃけいムグッ!」
「どうしたのすみれちゃん、両手で大ちゃんの顔を挟んだりして」
「いえ! お気になさらず!」
口と後頭部を両手で挟まれた大ちゃんは、顔を真っ赤にしている。
すみれちゃんの両手が離れると、大ちゃんは下を向いたまま何も言わなくなってしまった。顔はずっと赤いままだった。ちなみにすみれちゃんも顔を赤くしていた。
リンゴというか、さくらんぼを想像してしまった私は、なんだかいいなぁ、なんて思ってしまった。
「あ、すみれちゃん」
「なんですか……」
まだ顔が赤いままである。
かわいい。
こんなに初心なすみれちゃんだからこそ、気を付けなければいけないことがある。
「絶対! 変な男に関わっちゃだめだからね!」
「「それはあなたでしょ!?」」
二人揃って何を言っているんだろう。
とりあえず、かわいいなぁと思う私なのでした。
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